御堂筋で進むイチョウの雄木植え替え 減少していく銀杏
2013年9月時点で銀杏のなる雌木は256本
先述の大阪市「御堂筋イチョウデータ」によると、植栽本数は交差点ごとに阪急前~梅田新道:77本、梅田新道~淀屋橋北詰:68本、淀屋橋南詰~船場中央3丁目:348本、久太郎町3丁目~新橋:210本、新橋~難波西口:269本の合計972本。このうち、銀杏のなる雌木は256本となっている(2013年9月時点)。 また、イチョウは2億年前に誕生し、1億5千万年前にピークを迎えたとされ、かつては北半球の全域に生育していたものの、気候変動などで各所で途絶え、ほとんど姿を消したとされる。ところが、かろうじて生き延びたイチョウは中国で自生し、それが800年前頃に日本に入ってきたという。 大阪市立自然史博物館(同東住吉区)の学芸員は「イチョウは、中国で生き延びて、日本に入ってきたものです。葉の化石や銀杏の化石が見つかっているので、それで生育の分布がわかるんです」と話す。 また「長居公園では雄と雌の両方の木がありますが、イチョウは苗木の段階では雄か雌かはわからないんですよ。御堂筋のイチョウの問題は、価値観の違いでしょう。悪臭でかなわないという人もいれば、すべて雄の木に植え替えるのはどうかという人もいるでしょうし。ただ、銀杏は手で触ると、子供さんなんかがかぶれることもありますから」と続けた。
同市中央区に20年住んでいるという主婦に話を聞くと、「以前は銀杏を拾う人をけっこう見かけました。そう言えば、最近、見かけなくなりましたね。雄の木に植え替えているのは初めて知りました。でも、自然のものなので、雄の木でも雌の木でも、自然のままでいいと思うんですけど。確かに臭いですけどね」と話していた。 (文責/フリーライター・北代靖典)