「陣痛に耐えるのは当然」「甘え」の声も…出産の選択肢“無痛分娩” 5年で倍増もまだ全体の1割
「お腹を痛めて産むべき」「甘えだ」
無痛分娩に対するネガティブなイメージの影響も。 私が夫や両親に、無痛分娩という選択肢について相談したときには、反対こそしなかったものの、「リスクが増すのではないか」と心配していました。 中にははっきりと、周囲から否定的な意見を言われるケースも少なくないそうです。 「日本には『お腹を痛めて産むべき』『自分たちも苦しんで母親になれたのだから陣痛に耐えるのは妊婦として当然、それをしないのは甘えだ』などの言葉があり、通過儀礼的な思想、自然回帰の思想や文化が存在します。無痛分娩を選択するかどうかは妊婦一人ひとりの価値観によるので、そもそも善悪や優劣などの尺度で捉えるものでないです。しかし、妊婦の家族や友人などの周囲が無痛分娩に否定的な意見を述べることで、妊婦の決断を躊躇させているケースも少なくはないです」(名古屋バースクリニック・柵木千尋医師) 無痛分娩とは、陣痛を緩和しようとするプロセスを表す医学的用語であり、痛みがなくなるという結果を表しているわけではないそうです。全く痛くないということではなく、お産が完全にラクになるわけでもありません。 「無痛分娩に対して『ラクして産む』という偏見を払拭していくのも必要ですし、医療者側も無痛分娩の技術を高め、少なくとも無痛分娩を希望する妊婦全員が安心して医療を受けられるという環境を作り上げる努力が必要になります」(名古屋バースクリニック・柵木善旭院長)
納得のいく出産方法を
妊婦自身も、事前に自分が納得できる出産方法を調べ、自分に合った病院を選ぶ必要があります。 厚労省は5月30日、出産を取り扱う全国の病院や診療所などについて、費用やサービスを一覧で確認できるウェブサイト「出産なび」を開設しました。 実際にかかる費用や、受けられるサービスは、施設や地域によって大きく異なるため、このようなサイトなどを活用して、自分で選択していくことが大切です。 (メ~テレ記者 廣瀬祐美)