不登校経験した先輩からあなたへ 「勇気出す一歩になれば」 壁新聞制作、発表 北斗高(青森市)
「学校が人生の全てではない」「ありのままの自分を認めて」-。中学時代に不登校を経験した青森県立北斗高校(定時制・通信制課程)の生徒らは本年度、不登校について調べた内容を壁新聞にまとめた。今月、青森市の同校で、不登校傾向の中学生に向けて、自身の経験を交えて発表し「今は苦しくても、必ず楽しい未来が待っている。この新聞が勇気を出す一歩になったらうれしい」と語りかけた。涙を流しながら聞き入る中学生の姿もあった。 発表の場は県内の中学生とその保護者、教育関係者らを招いて開いた「北斗サタデーフォーラム」。この日は約70人が参加した。 同校は入学者の約半数が中学時代に不登校を経験している。地域課題の解決につなげる探究学習「あおもり創造学」では、不登校をテーマに壁新聞作りに取り組んでいる。 中間年次1年(入学2年目)の生徒が数人の班に分かれて▽青森県の不登校対応の現状▽適応指導教室やフリースクール、仮想空間「メタバース」など学校以外の居場所▽不登校になる理由▽親子それぞれの心情-などを調べ、形にした。 学校以外の居場所について調べた工藤璃音(りおん)さん(午後部)は中学時代、学校に行けないことに罪悪感を抱いていたが、青森市の適応指導教室に通い、信頼できる教師に出会った。「環境を変え、新しい思考を取り入れてみませんか」と優しく語りかけた。 「不登校」という言葉を使わないようにし、明るい雰囲気の新聞作りを心がけたという山崎瑠莉さん(午後部)は「親子の本音」と「学校に行きにくくなった理由」を調べた。早起きが苦痛、疲れるなどの理由が多い一方で「なぜ学校に行けないのか分からない」という子もいる-として「今でも“不登校は怠け”と考える人もいるが、そんなことは気にせず、自由に生きて」と話した。 石田愛笑(えみ)さん(夜間部)は、参加した保護者に「子どもが(学校に行けない)理由を自分から話すまで待って。焦る気持ちを抑えてほしい」と述べ、中学生に対しては「今どれだけ苦しくても、高校で楽しめることは絶対にある。自分を責めず、のびのび生きて」と語った。 質疑応答には生徒5人が臨み「将来、教員を目指したい」と目標を語る女子生徒もいた。坂上佳苗校長は「学校がどうあるべきかは大人だけが決めるのではなく、不登校を経験した子どもたちが未来の学校の在り方を提案できるような形につなげられたらいいと思う」と、展望を語った。