消費増税と新聞の軽減税率 朝日社説の変節ぶり
※ ※ ※ 新聞労連産業政策研究会が2013年9月末に発行した「新聞2013 この山をどう登るか 最終報告書」という冊子に、当時の朝日新聞労組の組合員はこんな内容の文章を寄せている。 「多くの国民が『購読を続けたいから新聞の税率を低くしてほしい』と訴えているなら別だ。しかし、そうした声も上がらないうちに業界が(適用対象入りに向けて)動いてしまっては、どんなに正論を吐こうとも『業界のエゴ』と映るだろう」 「(新聞に軽減税率が適用された場合)新聞協会は軽減税率を認めた政府・与党に『大きな借り』をつくることになり、政治に対する『監視力』をそぐ恐れはないのか」 この筆者や朝日の記者らは、どんな思いで消費増税や軽減税率に関する社説の変化を受け止めているのだろうか。大幅な部数減が噂される中、社内は経営最優先の色合いに染まってしまったのか。 「自分たちだけ軽減税率の恩恵にあずかりながら、財政立て直しのためには再増税すべし―― と主張しても読者への説得力は極めて乏しいし、そうした建前論は通じない。8%への消費増税の影響が今も後を引く中、本当に消費者のことを考えれば再増税の主張などあっていいことではない」 元東大新聞研究所教授でマスコミ批評を手掛ける桂敬一氏は、朝日の社説「『一億総活躍』社会 消費税の支えが必要だ」を読んでそんな感想を抱いたという。 (フリー記者・本間誠也)