【ヒット中】映画『ラストマイル』に希望を感じた“苦しみの連鎖を断ち切るため”の行動
※以下、『ラストマイル』のネタバレを含みます。 現在、大ヒット公開中の『ラストマイル』。映画の冒頭から、世界的なショッピングサイト「デイリー・ファースト(デリファス)」の管理部門、つまりエリート社員や、その倉庫で働く無数の非正規労働者、そして大手の配送業者の中間管理職に、その下請けの会社の社長や、会社と個人事業主として契約しているトラックの運転手などなど、さまざまな人々が物流のシステムを構成していることがスムースにわかる映像に、ワクワクしたのと同時に、一抹の不安を抱きながら見始めた。 【写真】この記事の写真を見る(3枚) 予想の通り、映画は一転。配送した荷物を受け取り主があけた途端にその箱が爆発。事件は連続して起こり、やがてデリファスが事件に関わっているのではないかと警察から疑われはじめてしまう。 自社の荷物に何者かが爆弾をしのばせたのではないかと疑われながらも、決して物流のシステムを止めないように必死で駆けずり回るのが巨大物流倉庫のセンター長に就任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)である。 彼女は、職業的な責任からか、警察への協力もそこそこに、自社を守ることに必死に見える。その裏には、なにか別の意図があるのではないかと勘繰らせるほどに。 彼女に対して戸惑うのが、巨大物流倉庫のチームマネージャーの梨本孔(岡田将生)だった。 こうした主要な人物たちの苦悩も描かれているが、やっぱり心を持っていかれるのは、その周辺の人物だろう。 特に、宇野祥平・火野正平の‟しょうへい”コンビが演じる、佐野運送の配達員である親子のシーンにぐっと来た人は多かったのではないだろうか。 佐野昭(火野正平)と佐野亘(宇野祥平)は、デリファスに荷物を委託されている「羊急便」と契約している個人事業主の親子である。父親の昭はこの道何十年のベテランだが、息子の亘は、勤めていた家電会社が廃業になって、運送業の見習いになって数週間。