「サブウェイのワタミ」へ大転換、脱居酒屋の衝撃、現在の稼ぎ頭は宅食事業、65歳渡邉会長の本気
居酒屋のイメージが強いワタミだが、近年の業績を支えるのは、高齢者などに向けた調理済みの弁当や総菜を配達する宅食事業だ。 今2025年3月期の第1四半期決算では、宅食は売上高100億円、営業利益11.7億円だった一方で、国内外食は売上高81億円、営業利益3.8億円だった。 ワタミの宅食は2008年に宅食事業を行っていた会社を買収して参入。成長が鈍化する時期もあったが、毎年20億~30億円の営業利益を稼ぐ安定的な事業としてワタミを支えていた。
コロナ禍では療養者向けに給食を販売し、売上高、利益ともに大きく伸ばした。コロナ禍の特需がなくなった後も成長を続けている。現在のワタミは宅食が主柱の会社なのだ。 ■専門的な業態が登場し、和民は苦戦 つねに外食が稼げていなかったわけではない。2000年代はモンテローザ、コロワイドとともに「居酒屋新御三家」と呼ばれ活況を呈した。この時期には居酒屋のみで大きな利益を出していた。例えば2008年度の外食事業は営業利益57億円を出すなど、事業の柱だった。
その後、業績は低迷していく。主力業態「和民」は徐々に客離れが進んだ。和民は幅広い種類のメニューを提供する戦略で客を獲得してきたが、鳥貴族など専門性が高く、割安感もある居酒屋が台頭すると、和民などの「総合居酒屋」は苦戦。既存店売り上げは減少傾向となっていく。 また、2010年代に過労死事件の裁判などで企業イメージが悪化したことも客数が減少した要因の1つだろう。外食事業は2013年度から4期連続で赤字となっている。
業績の悪化で自己資本比率が一時6.2%まで低下するなど財務状況も悪化した結果、2015年には宅食と並び利益を出していた介護事業を売却するまで追い込まれてしまった。 その後、「和民」の不採算店舗の撤退や「ミライザカ」や「三代目 鳥メロ」といった業態へ転換を進めたが、コロナ禍で再び大幅赤字に転落するなど、苦しい状況は続くばかりだった。 渡邉会長は2022年、東洋経済の取材に対して「居酒屋のマーケットはコロナ前比で7割にまで縮み、永遠に戻らないのではないだろうか」と語るなど、居酒屋業態の存続に危機感を示していた。