スーパーシュートで初2桁到達の東京V木村勇大「自分も絶対に決めないとダメだと…」垣間見せた同世代FW細谷真大への対抗意識
[8.31 J1第29節 柏 2-3 東京V 三協F柏] 豪快な一発で自身初の2桁得点に到達した。東京ヴェルディFW木村勇大は11試合ぶりのゴールでチーム1点目を記録。6月15日以来となるゴールに「正直9(得点)で止まっているのは心の中で引っかかっていた。やっとここで動かすことができて、すごくうれしい」と喜びを語った。 【動画】木村勇大の今季10点目はスーパーシュート! 持ち味を示したゴールとなった。0-1で迎えた前半15分、MF山見大登からパスを受けると、DF野田裕喜のプレスを強靭な体幹で跳ね除ける。体はゴールに向いていなかったが、反転しながら右足を一閃。「自分に対してプレッシャーが弱くなったのを感じた。今日はとにかくどんな体勢からでも打とうと思っていた」。鋭い弾道は雨粒をはじきながらゴールに突き刺さった。 チームは好調のなかで、自身は得点から遠ざかっていた。「焦りもあった。ずっと1トップで結果を残せないという責任も感じていた。先週も勝ててうれしかったけど、やっぱり歯がゆい部分があったり、心の底から喜べていない自分がいた。今日はチームの勝利にゴールで貢献できたことが何よりも大きい」。個人とチームの結果がようやく結びついた。 大学屈指のストライカーとして関西学院大を卒業後、京都サンガF.C.、ツエーゲン金沢でなかなか結果を残せず、自分自身と向き合う時間が続いた。「今までメンタルとかあんまり強くなくて、よくないときに落ちたり、沈んでいきがちな部分があった」。今シーズンから東京Vにレンタル移籍。苦しみ抜いた経験を糧に、少しずつ真価を発揮し始めた。 「今まであまりシュート練習はしなかったが、最近は(森下)仁志さんと付きっ切りでやってもらっていて、ゴールを取るために何が大事だとか、ゴールを取るメンタルというところをすごく言われて、自分もすごく意識してやっている。今日も前向きな気持ちで試合に取り組めたので、そこがよかったと思う」 直近の試合で結果が出なかったところも、自分なりに工夫を凝らした。「ゴール前でスプリントかけて入り続けるところと、3試合くらいシュートを打っていない時間があったので、どんな形でもシュートを打つところはすごく意識して挑んだ」。一つひとつ改善を図った結果が、豪快な10ゴール目につながった。 パリ五輪を目指す世代別代表にも招集されてきたが、木村は今夏の大舞台に立つことはできず。一方、対戦した柏レイソルには、パリ五輪メンバーに、そして今回A代表にも選出されたFW細谷真大がいた。前半8分の1失点目は、その細谷に決められたものだった。 同世代のストライカーだからこそ、意識するところはある。木村は「自分は自分なのであんまり考えることはない」と言いながら「自分の世代でトップを走る選手が点を決めたので、自分も絶対決めないとダメだと思った」と気の強さものぞかせた。「2点目を取れればもっとよかったが、そういう結果というところで、まず負けないようにがんばりたい」。今は数字を積み重ねて、さらなる成長を目指すつもりだ。