「記念すべきJリーグ30周年なのに」サポーターの暴走が激増 原因はまさかの新型コロナ? 厳罰化へ、サッカー協会もレッズも動いた
暴力を振るわれた被害者にクラブが謝罪して事を収め、表沙汰にしないクラブも実はあるという。そんな弱腰が、一部のサポーターの増長を招いていると言えそうだ。 ▽「顔認証」導入の検討も 日本協会は浦和サポーターの暴徒化を機に、古い規定の見直しに着手した。田嶋会長はこう考えている。 「新しい問題も出てきているし、観客に対しての処分は無期限入場禁止が最も重く、処分解除条件の定めもない。クラブへの罰金も数百万円では、今となっては少ない。規定が時代に合っていなかった」 処分の厳罰化のほか、警備員の増員など態勢強化、さらには入場禁止処分の実効性を高める顔認証システムの導入も検討する。 入場禁止処分を受けたサポーターが観客席にこっそり入るのは、それほど容易ではない。サポーターは「JリーグID」に登録しているケースが多く、別のIDで他人のふりをして入ったとしても、ほぼ間違いなく警備員に見つかる。他の観客からの通報もあるという。顔認証は「だめ押し」になり得る。
これらの対策を実行するための経費負担策なども議論する方針だ。 暴力や威嚇、施設や備品を壊す行為に対しては、警察に即時介入を求めることも辞さないかまえだ。 リーグ戦と異なり、天皇杯の試合を運営するのは都道府県協会だが、トラブル対応までは荷が重いところもある。対策として、例えば準々決勝以降は勝ち上がったJクラブに運営を委ねることなども考えたいという。 ▽「サポーター」とは認めない クラブ側も厳罰化へと動き出している。 浦和はこれまで、トラブルメーカーに対しても「対話」で理解を求めることを基本姿勢としてきた。しかし、今回の暴徒化で浦和に届いた批判の多くは、浦和サポーターやファンたちからだった。一線を越えたサポーターを排除しきれず、その振る舞いによってクラブが何度も重い処分を受けることに憤っている。 来季の天皇杯「締め出し」処分を受け、クラブは田口誠社長名で、ファン・サポーターに向けた声明を公式サイトに掲載した。この中で「『勝利のため』という理由で社会正義に反する行為を行う人を、サポーターとは認めません」と、これまでにない強い姿勢を打ち出している。