「記念すべきJリーグ30周年なのに」サポーターの暴走が激増 原因はまさかの新型コロナ? 厳罰化へ、サッカー協会もレッズも動いた
クラブへの処分を決めた協会の規律委員会(弁護士3人と協会側2人で構成)は、暴徒化した浦和のサポーター多数をこう断罪している。 「相手チームのサポーターを威嚇し(中略)サポーターや警備運営関係者に対して暴行を加えるという、日本サッカー史上、過去に類を見ない極めて危険かつ醜悪なもの」 FC東京サポーターの火気使用についても、持ち込んだ大量の花火や発煙筒に引火したり、応援の旗に引火したりすれば「観客だけでなくピッチ上の選手や審判その他関係者にもケガを負わせるなど大惨事につながりかねなかった極めて危険な行為」と批判した。実行したサポーター4人は国内全試合の無期限入場禁止処分。未然に防げなかったクラブに対しては罰金500万円などとした。 サポーターが対戦相手のバスを取り囲んだ仙台は、Jリーグから罰金500万円の処分を受けた。 日本協会の田嶋幸三会長も危機感を抱いている。 海外で過去に何十人、時に300人以上の死者を出したサッカー場の事故では、逃げ惑う観客が一カ所に殺到して将棋倒しになったり、暴徒化などで大きな人の流れがぶつかったりして倒れ、圧死するケースが多かった。
田嶋会長は1980年代にドイツに留学。当時、欧州ではフーリガンが乱行を繰り広げ、スタジアムで多くの犠牲者まで出した。その無法ぶりに遭遇した経験を持つだけに、二つの事件を「人の生死にも関わりかねない」と強い口調で非難した。 ▽「コロナ明けの発散」のために来場? なぜ今、サポーターの問題行動がこれほど頻発しているのか。 あるJ1クラブの運営担当経験者は、新型コロナウイルス禍も影響しているとみる。 無観客試合や声出し応援の禁止など、新型コロナ対応による約3年間のブランクで、応援のリーダー格となっていた年配サポーターの足が遠のいた。 一方、新たにスタジアムに足を運ぶようになった一部の観客は、サッカーを見に来たというより、観戦ルールなどお構いなしに「コロナ明けの発散に来ているような人もいる」という。 そんな時、クラブ側が毅然とした対応を取らないと、深刻化するという。「例えば運営担当者が若くて、サポーターにものを言えない。言っても、聞いてもらえない。そんなクラブは問題が起きがち」