「プロフェッショナル」スタートアップ育成の陰の立役者、大櫃直人さんに密着
NHK総合で10月18日放送のドキュメンタリー「プロフェッショナル 仕事の流儀」(午後10:00)では、日本の名だたるスタートアップ企業を育てた陰の立役者、みずほ銀行の元常務の大櫃直人さんに密着する。 みずほ銀行の常務執行役を今年3月まで勤め、現在は理事/エグゼクティブアドバイザーとして後進の育成にも携わりながら、現場に立つ大櫃直人さん、60歳。「スタートアップ」と呼ばれる新興企業に融資を行うバンカー(銀行員)だ。これまで年間10スタートアップ支援に従事し、約4000社のスタートアップ企業を訪問。メルカリやマネーフォワード、タイミーなど、500社以上のスタートアップ企業に融資し、時代を象徴する企業を育ててきた。また、経済産業省「スタートアップ・ファイナンス研究会」委員に就任し、国のスタートアップ政策にも関わっている。
大櫃さんは、たとえ過去の実績がない新しい企業でも、可能性があればリスクを負って融資し、金融界の常識を変えてきた。メルカリやマネーフォワードなど、今、経済をけん引する企業を数多く育ててきた陰の立役者だ。変革を迫られる日本経済に、新たな可能性をどのようにして育てていけるのか。バンカーとしての在り方を問い続ける、大櫃さんの仕事を徹底的に掘り下げる。
大櫃さんはメガバンクの重役という立場でありながら、今でも現場に立ち続け、外回りの営業数は行内でも群を抜く。毎日、数多くのスタートアップ企業と面談し、若い経営者たちの経営状況や悩み事に耳を傾けているのだ。驚くのは、そうした面談の中でほとんど「金の話をしない」こと。経営者の性格や考え、まとう雰囲気など、数字には表れない情報をつかみ取ることを大切にしていると語る。それを大櫃さんは「気配値」と呼び、事業の革新性や財務状況とともに、企業の将来性を見極める参考としていると明かす。番組では、こうした大櫃さんの企業への融資の現場に密着。数多くのスタートアップを育てたバンカーの極意に迫っていく。
取材を担当したディレクターは、「年間約1000社の企業・経営者を訪問し面談を続ける大櫃さん、実はその素顔は意外にも控えめです。活発に経営者と議論をする姿とは対照的に、プライベートでは人混みが苦手で口数も多い方ではありません。そんな大櫃さんがどのようにしてメガバンクのトップ営業マンに上り詰めたのか。そこには、バンカー人生の知られざる挫折と挑戦がありました。出世競争の激しい巨大組織、数字が評価されがちな世界において、迷いながら見つけたバンカーとしての正義とは? 葛藤と挑戦の日々に密着しました」と、見どころを語っている。