俳優・中川晃教 カーテンコールで叫ぶ名古屋への思い
「名古屋、やっと来たよ!」──。シンガーソングライターで俳優の中川晃教さん(33)が27日から2日間、愛知県名古屋市の同県芸術劇場大ホールで、ミュージカル「グランドホテル」名古屋公演に出演。人間ドラマを他キャストとスピード感ある演出で展開し、観客を魅了した。ミュージカルなどの公演が東京や大阪などであっても、名古屋を含む東海地方ではあまり行われず、一行が通過する様を指す現象、いわゆる名古屋飛ばしについて、心苦しさを感じていた主演の中川さんは、カーテンコールでその思いを叫び、万雷の拍手を浴びた。「(名古屋は)熱いファンの人や情熱を持った関係者が多い。その期待に応えたい」と、さらなる名古屋での公演活動に意欲を示した。
長年言われる名古屋飛ばし現象!?
「グランドホテル」は、1920年代のベルリンの豪華ホテルを舞台に、偶然の出会いと別れやそれに伴うドラマを描くミュージカル。幸せか悲劇かという結末が異なる2作を2組で上演。中川さんは悲劇作のキャストで、重病の会計士で大金をはたいて人生最後の日を過ごそうとするオットー役を演じた。2作合わせて東京では22公演と名古屋での3公演が終了。5月5日からは大阪で6公演を行う。 名古屋飛ばし現象については、東海地方の人の間では長年言われ続けている。それについてある芸能関係者は「費用の関係で、観客を分散させたくないと考える主催側の都合ではないか」と指摘する。 交通網が整備された現代、新幹線移動の最短時間は、名古屋―東京間は約1時間40分。名古屋―新大阪間は約50分。つまり、公演会場を東京か大阪に決めておけば「東海地方の人は、どちらかに来ることができる」と想定される。しかし、東海地方の人からは「(公演を見るには)交通費がかかり、時間によっては宿泊代もかかる」と、不満の声が上がる現状が続いている。
ミュージカルに対する熱量名古屋ずばぬけ高い
中川さんは宮城県仙台市出身で2001年にデビュー。07年には百貨店の大丸・松坂屋のクリスマスキャンペーンソング「終らないクリスマス」をリリース。中川さんの曲が名古屋の店内の時報のように使われたなど、名古屋との縁が深い。 親しい演劇関係者や仲間も名古屋在住。5月19日に名古屋ブルーノートで開くライブも、在名の音楽関係者からの誘いで企画するなど、「ふるさとと同じくらいの強い縁を感じている」という。 名古屋の印象については「関係者やファン1人ひとりが持っているミュージカルなどに対する熱量は、全国を見ても、名古屋はずばぬけて高い。それぞれが点で熱くなっているから、そろそろ、その点がひとつになる時なのかもしれない」と指摘。「名古屋で観客を集めるには、会場などのハード面も必要だが、上演するソフト、中身が重要。名古屋公演でしか見られない内容など、自分たちがソフトを作って盛り上げていきたい」と、演者としての考えを示し、名古屋の演劇文化盛り上げに意欲を見せた。 (斉藤理/MOTIVA)