女性の選択の権利としての人工妊娠中絶を描いた実話を基にした映画『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』

中絶が法律によって禁じられていた時代のアメリカを舞台に、女性たちの中絶の手助けをしたとされる実在の団体「ジェーン」の実話を基に描く社会派ドラマ『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』(3月22日公開)。国際女性デーである本日3月8日、本作で女性たちの友情や絆が色濃く映された新規場面写真とあわせて、本作に出演する2人の名優、エリザベス・バンクス、シガニー・ウィーバーのコメントが到着した。 【写真を見る】窮地にある女性たちに寄り添う団体「ジェーン」の物語 1973年にアメリカ連邦最高裁が女性の人工妊娠中絶の権利を合法とした歴史的判決「ロー対ウェイド判決」から50年、いま米国では、再び違法とする動きが活発化し、論争が激化している。女性たちが自ら権利を勝ち取った実話を映画化した本作は、まさにいま観るべき社会派エンタテインメント作品といえるだろう。 ■「この物語は人と人との絆、そしてその歴史を描きだそうとした1つの形」(バンクス) 人工妊娠中絶が違法だった1960年代後半から70年代初頭にかけて、推定12,000人の女性たちを救ったと言われているアンダーグラウンドな活動団体「ジェーン」。シリアスな問題でありながらも、本作をエンタテインメントに昇華させたのは、『キャロル』(15)で第88回アカデミー賞脚色賞にノミネートされた監督のフィリス・ナジー、『ダラス・バイヤーズクラブ』(15)や本年度賞レースで大注目を集める『バービー』(23)など、多くの世界的ヒット作品を生みだし続けているプロデューサーのロビー・ブレナー。このスタッフ陣が、バンクスやウィーバーといったハリウッドを代表するキャスト陣らと、女性たちを強く、そして美しく描く。 違法だが安全な中絶手術を提供するアンダーグラウンドな活動団体「ジェーン」のリーダーであり、創設メンバーでもあるバージニアを演じるウィーバーは、本作について「団結し支え合う女性たちの物語に私は心を揺さぶられました」と話し、主人公ジョイを演じるバンクスも、女性同士が互いに思いやり、助け合う姿に惹かれたという。 裕福な家庭の主婦として暮らしていた主人公ジョイが、ある日妊娠をきっかけに自身の病気が悪化していると知り、中絶が違法とされていた時代に、唯一の治療法である中絶を求めて「ジェーン」と出会う。無事中絶手術を受けたジョイに、バージニアから体調を気遣う電話がかかってくる。ただ手術をするだけではなく、処置後の女性のケアも欠かさない行動について、ウィーバーは「とても珍しいことですね、女性たちは食事と休養を提供されました。電話で処置後の体調を確認したりする仕事は多かったです。愛情あふれる団体でした」と、「ジェーン」の女性に対するサポートには思いやりを感じたと話す。 その後、バージニアに誘われて、「ジェーン」の一員となって支援活動に没頭していくジョイはある日、手術代600ドルを払えない人も助けるべきだと「ジェーン」のメンバーに提案し、活動は多忙となっていく。そんな「ジェーン」のひたむきな姿勢に対してバンクスは、「出産におけるあらゆる場面で女性同士が助け合ってきたことが歴史に記録されています。この物語は人と人との絆、そしてその歴史を描きだそうとした1つの形」と語る。 「ジェーン」が中絶を必要とする女性たちを救うため、また自らの権利を勝ち取るために立ち上がりる姿に、多くの女性がエンパワメントされるはず。『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』は3月22日(金)に公開される。 文/山崎伸子