<文楽>玉男襲名記念の写真展 CG駆使した特別映像も
吉田玉男襲名記念写真展でしか見られない映像を特別に公開 THE PAGE大阪
大阪の国立文楽劇場(同市中央区日本橋)で4日に開幕した二代目吉田玉男襲名披露公演が連日、襲名を祝うファンでにぎわいをみせている。関西だけでなく東京や名古屋、九州などからも多く訪れ、土日などはチケットが完売になるほどだ。 襲名にちなみ、文楽劇場では企画展示「初代・二代目吉田玉男」として、初代吉田玉男の映像や写真、遺品を中心に、初代の芸風を受け継ぐ新・玉男が収集する版画や錦絵などを展示。その文楽劇場からほど近い宗右衛門町の福壽堂秀信でも「人形浄瑠璃」をテーマに、“いま”文楽に人生を懸ける人の姿を撮り続けているフォトグラファー渡邉肇が女から男へ(玉女から玉男へ)をテーマにした襲名記念の写真展「二代目吉田玉男『転女成男』」を開催している。
最新CG技術駆使した「転女成男」映像も
写真展では、襲名披露演目「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」で遣っている熊谷次郎直実をはじめ、師匠の初代玉男の当たり役でもある「菅原伝授手習鑑」の菅丞相、松王丸、「仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助、「ひらかな盛衰記」の樋口次郎兼光などの時代物や、世話物の二枚目「心中天網島」の紙屋治兵衛、「曲輪(くるわ)文章」の伊左衛門などの舞台写真や、普段観ることのできない舞台裏の表情(楽屋内や稽古など)、独自の視点で迫った迫力のある約40点の写真を展示。 「想像もつかなかったような新たな視点で文楽を切り取られ、一座の私たちにも文楽の魅力を再発見させてくれます」 また会場では同時に、渡邉と映像監督の堀部公嗣がタッグを組み、最新のCG技術を駆使して制作した「転女成男」のイメージ映像作品を上映している。俯瞰から撮りおろすなど迫力あふれる仕上がりで、篠笛のこと、和太鼓の響道宴の演奏が魅力を添える。撮影は、昨年12月1日、襲名披露記者会見を行った日に行われ、二代目は朝の4時くらいまで10時間にもわたって人形を遣い続けたという。
舞台とは一味違う文楽の世界楽しんで
「立役人形の豪快さ、勇壮な動きの斬新な映像は、遣っているものにとっても新鮮な感動。舞台とは一味違う文楽の世界を楽しんでいただけたら幸いです」と二代目玉男もコメント。 渡邉肇「人間浄瑠璃」写真展「弐段目 二代目吉田玉男襲名記念 転女成男(てんにょじょうなん)」は大阪では12日まで菓匠館「福壽堂 秀信」宗右衛門町店2階で開催中。東京では襲名披露公演(国立劇場)に合わせ、5月16日から24日まで瑞聖寺(港区白金台)で行われる。さらには、好評につき名古屋での開催も決定。中日劇場での襲名披露にあわせ、5月26~31日まで劇場のある中日ビル4階の中日ギャラリーで開催される。ともに入場無料。