歴史をつなぐ団員募集! 西南学院大学「女性ただ一人」の応援団/福岡市
一人の寂しさ痛感
星原さんの心をわしづかみにした学ラン。2年の秋の大学祭で着用が許される立場になり、袖を通した。身長146センチの体には大きかったが、「歴代の先輩たちが頑張り、歩んできた歴史にたどり着けた」と、こみ上げるものがあったという。 苦楽をともにした同期の団員と学ラン姿を見せ合いながら、頬が緩みっぱなしだった。第1志望の西南学院大に合格したときよりも、この瞬間がうれしかったそうだ。
学内で先輩の姿を見れば、荷物を下ろして「オス!」とあいさつをするのが伝統。「私いま、応援団してる!!」と星原さんには至福の場面だが、周りの友人からは「たいへんだね」と同情されたという。
同期がやめ、先輩が卒業し、たった一人の応援団に。実は昨春、二人の部員を迎えたが、数日後に退部の連絡がLINEで届いた。新人戦などが毎週のように予定され、会場のワクワク感を一緒に味わおうと後輩のチケットも購入していた。 「このときが一番きつかったです」と振り返る。試合後に互いをねぎらい、楽しそうに写真を撮り合うチアリーダーたちを見ながら、「一人」の寂しさが身に染みた。
応援って楽しい!!
この春、1年生が入ってくれたら、自分は夏合宿後にも引退しようと思う。もし今年もダメだったら……、そのときは「卒業直前まで一人で続けるつもりです」と決意を口にする。先輩たちから受け継いできた応援スタイルの動画を撮ったり、文書で残したり、これからも応援団の歴史を紡いでいくため、できる限りのことをやっている。 頑張っても報われるとは限らない試合で、「あなたの奮闘を見ているよ、応援しているよ」と、思いを伝えることが応援団の役割だと考えている。勝ち負けに関係なく、選手のやりきった表情を見られたとき、「応援してよかった」と心から思う。
日本一かっこいいと信じている西南学院大の応援団。その歴史が自分の代で終わってしまうのは怖い――。そんな不安と闘いながら、3月21日の卒業式では、門出を迎えた先輩たちを熱いエールで送り出した。 「この3年間で人を応援する楽しさを知りました。人生をかけて誰かを応援できるような人になりたい」と語る星原さん。自分のことを必要としてもらえる――。そんな人物にいつかはなりたいと願う。
読売新聞