歴史をつなぐ団員募集! 西南学院大学「女性ただ一人」の応援団/福岡市
西南学院大学(福岡市早良区)で70年の歴史を誇る応援団が存続の危機に直面している。男くさいイメージがある応援団だが、同大の伝統を守ろうと一人で奮闘しているのは、4月から4年生になる法学部の女子学生・星原優璃さん(21)だ。迎えた春、星原さんは「人を応援する楽しさを知ってほしい」と新しい仲間を心待ちにしている。 【写真】頑張る人を全力で応援!
学ランに一目ぼれ
1954年創部の応援団には、これまで200人以上が在籍してきた。その歴史を一人で背負う女性とは、どんな人物なのだろう――。しっかり者で、ちょっと勝ち気な性格なのかな?と勝手に想像しながら、学生食堂の前で待ち合わせた。そこに現れたのは小柄な女性。「中学生に間違われることもあるんですよ」と、にっこり笑った。 「癒やしキャラ」として友人に慕われる星原さん。高校では賛美歌などを歌う文化系の部活に所属し、「母のごはんが恋しい」と熊本市から2時間かけて通学している。
漫画「進撃の巨人」が大好きで、大分県日田市のJR日田駅前にある「リヴァイ兵長」の”銅像詣で”に、月1度は通うほどの熱の入れよう。ボーイッシュなヘアスタイルもリヴァイ兵長への憧れからで、ノートパソコンにシールを隙間なく貼っている。
星原さんと応援団の出会いは入学式後のオリエンテーションだった。学ランを着てさっそうとステージに立つ姿に「かっこいい!」と一目ぼれした。コロナ禍で声を出せない中での演舞だったが、静寂の空気を圧倒する迫力があった。「女子の私も大学で学ランを着るチャンスがあるのか」――。迷いなく門をたたいた。 質実剛健で、上下関係に厳しい応援団。自身の成長のために、今しかできないことに挑戦すると決めた以上、厳しい環境にも耐えるしかない。「毎日怒られて、泣くのかな」と覚悟していた。
ところが、いざ入部してみると「先輩たちは優しく、怒られることはほとんどなかった」そうだ。他の大学の応援団は厳しいと聞いていたので、「これでいいのかな……」と逆に不安になり、しばらくは落ち着かなかったという。 自問自答する中で徐々に考えがまとまってきた。「怒られないように、こうしておこう」と消極的に行動するのはやめよう。正しいと思えば率先して自分で動こう。