「あざがあるだけ、僕は普通の人なんです」体のあざを公表の難病男性 決意した最後の責任
同じ悩みを持つ人からの相談など数多くのメッセージが届き、首藤さんはできる限り返信しました。一方で、『裸になって金目当てか』『遠山の金さんみたいで笑える』『キモイものをネットに流すな』などと誹謗中傷もあったといいます。 応援してくれる人や家族がいるから立ち止まっても後退しても必ず前に進める…そう確信し、首藤さんは差別や偏見を受けてきた自身の体験談を絵本にして、人権に関する講演活動を行うようになりました。 首藤さん: 「同じようなあざのある男の子と会話したことがあって、その子は夏でも絶対に長袖を着ていたそうです。自分がこれまで体験したことを伝えたあと、一緒にランチに行くことになったんですが、その子が自ら半袖に着替えてきました。その時の両親はとてもびっくりしていましたね」 「隠すという行為は、自分を失っているよということを当事者に伝えてきました。講演で『あざがあるだけで僕は普通の人なんです。あなた方のお子さんも普通の人なんです』と言った瞬間にお母さん方が号泣していた。親が普通と思わなくて誰が普通と思うのか…そういう話をする活動をしていました」 ■新しい使命感を胸に生きる コロナ禍で講演活動もなくなり、いまは愛犬と一緒に悠々自適な生活を送っています。しかし、脳出血の後遺症で右半身不随となり、あざがある右腕のしびれと痛みはひどくなっています。 首藤さん: 「医師からもう飲む薬はないと…CTを見ながらこれから検査していくけど手術の可能性は大きいと言われた」 父子家庭で2人のこどもを育ててきた首藤さんが頼りにしているのは、娘の夏菜さん。看護師をしながら折を見ては父親を訪ね、手助けしています。 夏菜さん: 「父は友達みたいな感じだったので、仲良く過ごしてきた。自分が大事と思うものに対して絶対に守る、有言実行なところがすごいと思う」 手術の可能性を告げられ『終活』を意識したという首藤さん。自身の命に向き合う中で、将来はあざがある右上半身を献体として病院に提供したいという思いを抱くようになりました。
首藤さん: 「10年後、20年後の医学が進んでいる中で治せる技術が生まれるかもしれない。僕の右腕と右肺と脳を保存してほしい。献体も誰かがしないといけない…この体で生まれた最後の責任だと思う」 多くの人とつながり、笑顔を届けてきた首藤さん。これから生まれる子どもたちのために今、新しい使命感を胸に生きています。
大分放送