JR名古屋高島屋、23年売上高が過去最高の1891億円に
高額品については22年から段階的に特選売り場(ラグジュアリーブランド)を増床し、面積を1.5倍にした。低層階だけでなく7階のメンズフロアも「ルイ・ヴィトン」「グッチ」「ジミーチュウ」「プラダ」「ディオール」「ベルルッティ」などのブティックを初めて入れた。担当したグループマネージャーの林智基氏は「メンズ商品を一堂にそろえることで、よいものを求める東海三県のお客さまの期待に応えるようにした」と話す。
上層階は集客に苦労するのが百貨店では一般的だ。しかし同店の場合はTGMと各フロアで連結していることもあり、若い世代やカップルの行き来が多い。「百貨店はお客さまの年齢が上に偏りがちだが、当店の場合は若いお客さまが駅ビル感覚で利用してくださる」(林氏)。狙い通り、40代の若い客が7階の特選売り場をよく利用するようになった。
近接する大名古屋ビルヂングに21年に開いた高級時計売り場「タカシマヤウオッチメゾン」と合わせて、高額品の品ぞろえが充実した。これがもともと顧客基盤の弱かった外商事業を強化する上での武器になった。
熱気を生み出すチョコレート催事
同店では今月18日から2月14日まで名物催事が行われる。「アムール・デュ・ショコラ」は全国で数あるバレンタイン催事の中でも最大級の売り上げと盛り上がりを見せることで有名だ。23年の開催では会期中に70万人以上が来場し、34億円以上を売り上げた。こちらも広域から人を集め、会期中に何回も訪れる人もいる。地元メディアで紹介されてり、インスタグラムで拡散されるケースも多い。
今年の開催では10階の催事場をメイン会場に、1、3、4、5、6、8、9階にもサテライト会場を置く。会期中には国内外から約30人のスターシェフが来場する。彼らと写真を撮ったり、サインを書いてもらったりしようと訪れる熱烈なファンも多いため、会場は熱気で包まれることになる。
限定商品やコラボ商品の企画も充実させたり、「推し」のチョコやシェフに投票する総選挙を実施したり、日替わりのイベントを開いたり、チョコレートのテーマパークにいるような没入感を作り出す。客単価は6000~7000円。「カード顧客のデータを分析すると、会期中に何度と来場する方も珍しくない」(バイヤーの金山晴香氏)。出店するシェフやブランドにとっても「アムール・デュ・ショコラ」は、マーケティングの上で欠かせない場として認知されている。