長野県松本市の公設市場 市の関与を維持へ
長野県松本市は20日、市公設地方卸売市場(笹賀)の今後の在り方について、市が一定の関与をする「公設市場」として今後も存続させる方針を示した。青果部と花き部は卸売市場機能を残し、水産物部は物流機能のみを残す方向で検討する。老朽化した施設の建て替えについては、遅くとも令和9年度末までに結論を出すとした。 市議会経済文教委員協議会に方針を示し、了承された。平成元(1989)年の開設から35年となり施設が老朽化していることに加え、近年は買い手の競争で値を付ける「競り」が減り、物流センターとしての役割が増していることから、昨年度から調査・検討に着手していた。 調査の結果、市場を経由して流通する市場経由率や市内生産者の出荷率の高さから市の重要な公共インフラと位置付け、公設を維持する方針を決めた。 青果部と花き部は市場経由率と出荷率が高いことから、競りを行う卸売市場機能を維持する。一方で、水産物部は仲卸業者と専門小売業者が衰退し、市場本来の集荷・分荷機能が形骸化していることから、物流機能のみにする案が出た。 施設整備の方向性については、市が土地や建物などの所有権を保有したまま市場の運営権を一定期間、民間企業に売却するコンセッション方式や、リース方式の選択肢を基本に検討していくことが望ましいとした。花き棟は手狭で建て替えが必要な状況となっている。 市農政課の丸山行康課長は「当面は指定管理による運営とし、部門別に施設整備にかかる協議を始めていきたい」と話している。
市民タイムス