9月なのにいまだ続く「ゲリラ“雷”雨」多発のワケ。専門家が警鐘を鳴らす発生時の“危険行動”は「急いで地上に出る」と「長靴で行動」
地下鉄や車の運転時…「急いで地上に出る」「長靴で行動」はむしろNG
〈ゲリラ豪雨で市ヶ谷駅が沈む〉〈市ヶ谷駅おわた〉〈豪雨がまるで川のよう〉 豪雨発生時、Xでは「市ヶ谷駅」がトレンド入りするほど、地下鉄冠水の様子は衝撃を与えた。地下鉄の乗車時や公共施設の地下街でこのような事態に直面した際、どのような避難行動を取るべきなのだろうか。 「市ヶ谷駅のような浸水が発生した場合は、慌てて地上に出ようとする方が危険です。雨水が流れる階段を使ったりすると水流で足を取られて転落したり、人がたくさん集まった場合は将棋倒しのような転落事故にもなりかねない。公共施設の地下空間は相当広いので、駅員の避難誘導に従い、改札階や地下街の冠水していない場所に留まることが得策です」(平松さん) また、車の運転時に豪雨に見舞われた際、車の中で待機していた方がいいのか、そのまま走らせたほうがいいのか、迷う方は多いだろう。 「最も大事なことは安全なところに車を止め、豪雨が過ぎ去るのを待つことです。一番危険なのは視界が不明瞭な中、無理に車を運転して、交差する鉄道や道路などの下を通過する地下道『アンダーパス』に侵入したり、道路冠水しているところに車を止め続けること。浸水で車が機能しなくなったり、車ごと流されてしまうケースもあります」(平松さん) さらに「雨」と言われてイメージするのが「長靴」だろう。 「ゲリラ豪雨が来るかもしれないし、長靴を履いていこう!」というのも実はNG行動だと平松さんは言う。 「長靴の方が安全と思いがちなんですが、中に水が入ってしまうと歩行が困難になったりして行動しづらくなったり、もしもの時に走りづらくなったりすることがあります。いくら傘を差しても足元って濡れるので、予備の靴や靴下がある状態で、底が厚めのスニーカーで出歩くことを推奨します」
今年は雷日数が例年の2倍以上 「ゲリラ雷雨」、なぜこんなに多発した!?
今年異常なほど多発した「ゲリラ豪雨」。 気象庁によると、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨は1980年頃と比較して発生頻度が約2倍に増加するなど全国的に増加傾向にあるという。 増加の背景には地球温暖化の影響がある。 日本気象協会の気象予報士・小島雅子さんは「近年、ゲリラ豪雨が多発している理由に地球温暖化など気候変動が大きく関係している可能性があります。また都市化に伴い、コンクリートで覆われた地面が熱をためこみやすくなったのも豪雨を引き起こす要因の一つと言えます」 さらに今年、特に多かったのが豪雨と雷が同時に襲う「ゲリラ”雷”雨」だ。 気象庁によると、東京で雷を観測した日数は、平年の夏シーズン(6~8月の3か月間)が6.9日のところ、今年は19日と、平年の2倍を上回る結果になった。 「例年の夏だと日本付近は太平洋高気圧に覆われています。今年は太平洋高気圧がやや南にあって、東日本の太平洋側を中心に関東付近は南から暖かく湿った空気が流れ込みやすい状態となっていました。さらに今年の夏は気温が高く、ゲリラ豪雨を降らせる雷雲が発達しやすかったことも要因です」(小島さん) 雷発生時に屋外にいる場合は速やかに近くの建物に避難することが鉄則だが、近場に避難できる建物がない場合、大きな樹木は被雷の可能性が高いため、木や電気を地下に流す高圧鉄塔や電信柱から4m以上離れて避難することが安全策となる。 ただ高圧鉄塔や電柱柱すらない場合は「しゃがんで膝を抱え、身を小さくして待機するのがいいという。また地面を電気が流れることもあるため、手や膝、お尻などは地面につけないように」(小島さん) 9月に入ってもまだまだ続くゲリラ雷雨…まだまだ油断は禁物だ。 取材・文/集英社オンライン編集部
集英社オンライン編集部