20年前、水没バスの屋根で一夜過ごした「奇跡」 死者95人の台風23号、被災者ら語る救出劇
「おーい」。同市筈巻の筈巻橋近くで、欄干に濁流がぶつかる音に混じって叫び声が聞こえた。電柱にしがみついた運転手を発見し、救出できた。 由良川の改修工事が進み、個人が収集できる気象情報も格段に増えた。気象庁の提供する防災情報「キキクル」などで地域ごとの雨雲予測や状況の変化などを確認できる。 一方、総雨量が千ミリを超すような豪雨災害が全国で頻発しており、外出先や自宅で被災するリスクは拭えない。 「命を守るために避難は重要だが、判断に迷う場合もある」と、福知山公立大地域防災研究センター長の水口学特任教授(63)。「実情に即し、地域ごとに河川水位や土壌雨量指数などで行動の目安となる値を決めておくべきだ」と平時の備えを強調する。 ◇ 2004年の台風23号による京都府北部の被害 秋雨前線も相まって記録的大雨となり、宮津市上世屋で総雨量385ミリに達した。由良川下流域の国道や府道が冠水し、浸水被害は床上と床下合わせて計6534棟。各地で地滑りや土石流も発生し、死者15人、重軽傷者193人と1953(昭和28)年の「28水」に次ぐ被害だった。