元グラドルの発信力を故郷で生かしたい 久保百恵・八戸市議
急ごしらえの選挙戦へ
素人が立候補できるのかといった意見や、「女性としての幸せ」を願う母の心配などもあって、昨年秋口にようやく市議選への立候補を決意したものの、身内や親戚を見渡しても政治関係者はゼロ。「実際に選挙準備では何をしていいのか分からずにいた」といい、これまでのタレント活動などで培った人脈を頼りに選挙に詳しい人を駆けまわり、1月に初めて開いた集いで現実の厳しさを目の当たりにする。300人という目標に対して集まった人は約100人。顔を見渡しても“本当にお世話になった人ばかりというお情け的な会場”で、「(4月に選挙なのに)名簿も用意していないのか」と言われてしまう状況だった。 取り込みたかった若い世代や女性層にも、やはり選挙となると身構えられる。特に今回の統一地方選では、全国各地で若い女性が立候補し、久保氏も「美女候補」としてクローズアップされる機会が多かった。八戸市には、「元祖美人すぎる市議」として有名な藤川優里氏(35)がいることもあり、対比して「美人すぎるvs.グラビアアイドル」「久保氏は八戸に1500人のファンクラブがある」などといった報道も。当選ラインが約1700票であることから、この「1500人ファンクラブ」での安心感からか応援が遠のく空気も感じたといい、「ありがたい思いはあるんですけれども、やっぱりちょっと、そっとしておいてほしかった」と苦笑して振り返る。
やりたいことを八戸でつくる
タレント候補やビジュアル候補といった扱われ方に対しては、「自分が目立ちたくて喜んでやっているんじゃないか」という誤解もあったと。それでも、久保氏はホームページに多数ある芸能活動時代の写真を消すというような対応を取ることはなかった。「町づくりに関わりたいという思いは本物だから」という自負はもちろんだが、「タレント候補と言われるが、実際にそう。自分に何ができるかといったら今はまだ素人。ただタレント活動という発信力を生かして、そこに住む人の代弁者になるのも大事なのかな」と語る。 今回、青森県内の市町村議選の投票率で、八戸市議選の44.57%は最低。久保氏は「『20代でも立候補した人がいる』という部分で興味を持っていただいて、投票率アップにつなげればという思いもあったのですが」と、一番近い議員であるはずの市議と市民の距離感については悩ましげな表情を見せる。「一番の問題というのは、自分たちの意見を市に伝えるというのを思わないじゃないですか。八戸にないんだったらじゃあ自分はあっちの都会へという意識がとっても強いと思うので。そうじゃなくて、やりたいことをこの八戸で作っていきましょうよ」。