スカウトが絶賛する東洋大・島田舜也 無念の代表落ちも「全然ダメとは思わない」と来年のドラフト1位を目指す
出鼻をくじかれ、てっきり意気消沈したのではないかと想像していたが、島田はあっけらかんと「おぉ~、打たれるかって感じでした」と振り返った。 「最初は真っすぐで差せていたんですけど、変化球があまりよくなくて、最後は真っすぐが甘く入ったので、まあ打たれるよなと。あれくらいのバッターになると、一発でとらえてきますよね」 つづいて大学選手権で7打席連続安打をマークした石飛智洋(天理大)には、ライト前ヒットを許した。その後は1アウトをとったものの、一死一、二塁のピンチの状態で強制終了。この合宿では投手は1イニングあたり20球までの球数制限があり、上限に達したためだ。 2イニング目は繁永晟(中央大3年)、柳舘憲吾(國學院大)、山縣秀(早稲田大)にシングルヒットを浴びて1失点。最後は2巡目となる渡部にライト前ヒットを許したが、ライトを守る西川史礁(青山学院大)がノーバウンドのバックホームで走者を刺して3アウトに。三塁側ベンチに戻った島田は「ホントにスイマセン!」と叫んだ。 「試合が始まる前、『このチームで勝とう』と言っていたのに、自分が失点して点差を広げられてしまったので(試合は1対3で敗戦)。打たれてしまって申し訳ないなと思って、謝らせてもらいました」 結果的に1失点で済んだとはいえ、アウトは4つしか奪えず、被安打は6を数えた。それでも、島田は明るいトーンでこう総括した。 「球速だけじゃダメだし、コントロールがアバウトすぎても打たれる。あとは組み立てもうまくできなければ打たれるとわかりました。打たれたのは悔しいけど、全然ダメだとは思いません。これくらいが今の実力だなと感じています」 今回は大学日本代表入りを逃したといっても、プロスカウトが高く評価したように島田が2025年のドラフト1位指名候補であることは変わらない。 島田は自分自身をどのように評価しているのだろうか。そう聞くと、苦笑交じりにこんな答えが返ってきた。
「ドラフト1位でプロに行けるように目指しています。ほかにもすごいピッチャーはいますけど、負けちゃダメだし自分のほうが上だと思ってやっています。うわべでは仲良くしているんですけど、心のなかでは『自分が上だ』と思っています。そう思っていないと、負けちゃうんで」 島田が在籍する東洋大は現在、強豪がひしめく東都大学野球連盟の2部リーグで戦っている。「まだ1部で投げたことがない」と島田自身が語るように、大舞台での実績はまだ乏しい。 それでも、このまま順調にステップを踏んでいけば、島田舜也の名前は大きくクローズアップされるようになるはずだ。この大器には、それだけの魅力が詰まっている。
菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro