大学前の町中華「萬来軒」、受け継いだのは台湾留学から帰国の学生…学食ベンチャー経験生かす
来春就職予定、「後継の学生見つける」
千葉商科大学(千葉県市川市)の学生が、同大正門前で長く親しまれてきた町中華店の経営を引き継ぎ、1日に新装オープンさせた。大学内で食堂を経営した経験を生かし、事業の基盤を固めて後輩に引き継ぐ考えだ。(大和太郎)
千葉商科大正門前にある町中華「萬来軒(ばんらいけん)」は、67年間営業を続け、多くの学生や地域の人に愛されてきた。しかし、2代目店主の藤ノ木政勝さん(61)が体調不良となり、約2年前から営業を休止。再開は難しい状況だった。
そこで立ち上がったのが、同大商経学部4年の芹沢孟(たかし)さん(22)だ。台湾留学のために2023年春から1年間休学していたが、帰国後に萬来軒の窮状を知り、事業継承を決意した。
店の再開にあたり、同大の業務支援会社「CUCサポート」と共同出資し、事業継承会社を設立した。藤ノ木さんに看板メニューの「味噌(みそ)ラーメン」などの作り方を伝授してもらったほか、新メニューも開発し、了承を得た。
芹沢さんは2年生だった21年11月から約1年3か月間、学生の起業を支援する同大の「学生ベンチャー食堂」制度を活用し、キャンパス内で食堂「新天地」を出店した経験を持つ。設備の更新やSNSを活用した店長らの人材募集など、学生ベンチャー食堂での経験が役立ったという。
新装開店した1日は、学生らが次々と食事に訪れ、順調なスタートを切った。芹沢さんは来春、商工組合中央金庫(商工中金)に就職予定で、「それまでに現役学生の後継者を見つける。店を100年続けるための基盤固めが今後のミッション」と意気込んでいる。