2024年の日本経済は“歴史的なことだらけ” 一方で景気回復の実感「全然ない」 課題に「中小企業の賃上げ」
TBS NEWS DIG Powered by JNN
株の史上最高値や円安など、歴史的な出来事が続いた今年の経済界。金融の町・兜町の老舗の天ぷら屋さんでお話をうかがいました。 創業73年の日本料理店「辰巳」。証券取引所のある「兜町」を長年、見守ってきました。 揚げ物にかけて、「株よ“あがれ”」。かつて、多くの関係者がゲン担ぎに訪れていました。 辰巳 3代目店主 津田昌彦さん 「12時に場が終わると(証券会社の)場立ちさんたちが流れてくるわけですよ。株がドンと下がると暇になっちゃったり」 客は「歴史的」だった今年を振り返っていました。 「円安がね、もうそれが常態化してたんだよね」 「1989年の株価を抜いたというのは相当印象深かった」 今年の日本経済は「歴史的なこと」だらけ。 2月、日経平均株価が史上最高値を更新すると、「4万円の壁」をもあっさりと突破。史上最大の乱高下もありました。 さらに、歴史的な円安を背景に日銀が17年ぶりの追加利上げを決定し、「金利のある世界」がかえってきました。ただ… 辰巳 3代目店主 津田昌彦さん 「(Q.景気回復の実感は?)全然ない。株価は上がっても円が安いから、輸入物がみんな高くなっちゃうわけでしょう」 この店でも、米を始め、小麦や卵などの食材が値上がり。値段は据え置いていますが、いまはご飯のおかわりを有料にしています。 辰巳 3代目店主 津田昌彦さん 「厳しいけどお昼は価格を抑えて、皆さんに美味しいものを召し上がってもらえれば」 記者 「物価高の波が食品にも押し寄せる中、今後の焦点は『物価高に負けない賃上げです』」 節約志向の中でもこの店では家電やおもちゃを中心にクリスマス商戦は大賑わい。 この企業では好業績を反映して来年、大幅な賃上げに踏み切ります。 見せてもらうと… 店員 金本栄美さん 「1月から給与アップしますよというのが全社員に見れるように通知が来ている画面になります」 ベースアップ2%を手始めに、実に7%の賃上げ。給与水準の引き上げ、人材の確保を目指します。 店員 金本栄美さん 「3年連続(賃上げ)っていうのは、あんまりないかなと思っていました。ラッキーと思いました。推し活にそのまま投資します」 私たちの生活に景気の実感をもたらすには、春の「賃上げ」が焦点だと言います。 大和総研 神田慶司シニアエコノミスト 「高水準の賃上げが実現する。実質賃金の上昇というのは、これから実現していくんじゃないかと思っています。ようやく家計の所得環境が改善してくる」 課題は中小企業の賃上げです。 大和総研 神田慶司シニアエコノミスト 「一部の業種については、まだ価格転嫁が進んでいないと思います」 原料、人件費を価格に上乗せする価格転嫁は進むのか。物価高に負けないためにも「賃金は上がっていくもの」という考え方の転換を迫られる年になります。
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