コンセプトは「音を必要としないカフェ」 マスターは耳が不自由な38歳の男性 “やりたいことを諦めない” 幼少時から抱えていた“生きづらさ”乗り越え #令和に働く
TeNYテレビ新潟
新潟県長岡市に耳の聞こえないマスターが営むカフェがあります。 コンセプトは音を必要としないカフェ。 どのようなカフェで、そして店に込められた思いとは……。 【動画】“音を必要としないカフェ” マスターは聴覚障がい者 店に込められた思いとは《新潟》
音のない世界で生きる 「音で判断する世界、それは聞こえる人の世界」
信号機の音や救急車のサイレン…… 夏を知らせる祭りばやしのかけ声…… 街中にあふれる日常生活になくてはならない音……音のない世界で生きる人たちがいます。 長岡市に住む倉又司さん38歳。 生まれた時から聴覚に障害があり耳が聞こえません。 倉又司さん 「音で判断する世界、それは聞こえる人の世界だと思います。私は生まれた時から、耳が聞こえないため、聞こえることがどういうことなのか私は分かりません」
幼いころから抱えていた"生きづらさ" 生まれた時から聴覚に障害
小さい時から生きづらさを感じていたといいます。 地元の公立小学校に進学するも、周りにいるのは耳が聞こえる同級生でした。 倉又司さん 「友達との会話もできない、担任の先生の話も分かりませんでした。勉強もついていけず小学5、6年生から家に引きこもっていました」 『なんで自分は聞こえないんだ』『どうして聞こえない子どもに生まれたのか』 子どもの時、そう考え孤独を感じることもありました。
注文は指さし、もしくは手話で
長岡市にあるカフェ「NOBI by SUZUKICOFFEE」。 自慢は苦みと酸味のバランスの良い香り豊かなブレンドコーヒー。 訪れた客 「後味、香りが全然いつものコーヒーと違います。おいしいね」 カフェを営むのは、あの倉又さん。店に入ると手話と優しい笑顔で出迎えてくれます。倉又さんはジェスチャーを交え、支払い方法を確認します。 倉又司さん(手話で) 「会計は別々?」 グループで訪れた客 「別々!(ジェスチャーをしながら)」 カウンターには多くの写真を使ったメニュー表と注文票。 注文は指さし、もしくは手話で行います。ドアが開く音、人の足音、そしてお客さんの声を倉又さんは聞くことができません。そのため…… 鈴木コーヒー 伊丹あき子さん 「お客様が来店したとき、座っている方が用があるとき、耳が聞こえない倉又さんはどうしても気付くことはできません。店内に大きく全体に鏡を貼ることで、作業に集中していても視覚的に気付けるようにしています」 そして、もう一つの特徴。店内に音楽は流れていません。そのためゆったりとした時間が流れます。 訪れた客 「このカフェは音がなく、それが私にはすごく良い空間で、また来たいなと思って。普通のカフェは、しゃべり声とか音楽があるじゃないですか。それがなくていいなと思って」 コンセプトは“音を必要としないカフェ”。 オープンを決めたのは自分のような聴覚障害者が抱く生きづらさがきっかけでした。