早くも「四面楚歌」の石破茂総理が頼る「精神安定剤」…赤澤亮正経済再生相が越えてはいけない一線を踏み越えた
林芳正官房長官を排除
その協議内容を踏まえて赤澤氏が首相以下、政務・事務内閣官房副長官3人、政務・事務担当首相秘書官8人の面前で政策プレゼンをしているというのである。 同氏が石破氏にとって「精神安定剤」の役割を果たしていることは承知する。だが、これは明らかに一閣僚の矩を踰えている。なぜならば、指示系統にひとたび特例を認めると官邸が機能不全に陥りかねないからだ。あるいは「二重権力」の謗りを免れない。このリポーティングラインからは林芳正内閣官房長官が排除されている。まさに“林外し”の側面もあると言えよう。 赤澤氏本人には政局案件であるとの自覚がない。それだけに石破氏の統治力が問われているのである。そして、残念ながらその統治力は薄くて軽い。 「史記」の『項羽本紀』の故事から引けば、石破氏は今、「四面楚歌」に近い状況に置かれている。周囲を敵に囲まれ、孤立無援な己がそこを突破するには何が必要なのか。 石破氏がこのまま「正論アウトサイダー」に甘んじていては突破できない。取引も妥協も虚勢も不義も狡猾も怜悧も冷徹も、時に必要である。要は、理が非でもやれることはすべてやるのだ。でなければ、狂気の裏に弱気を見せたシェイクスピアの「マクベス」になってしまうであろう。
歳川 隆雄(ジャーナリスト・「インサイドライン」編集長)