センバツ2024 頂へ、駆け上がれ 近江、伝統の「弁天ダッシュ」 雪中も練習に熱 /滋賀
近江(彦根市)の野球部員は2年ぶり7回目のセンバツ出場決定から一夜明けた27日、全国制覇を目標に気持ちを引き締め早速練習に取り組んだ。【菊池真由】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち この日、グラウンドは25日からの雪に覆われ、練習に使えなかった。このため、高校の近くにある弁天山(標高196メートル)の頂上まで約300メートルの坂道を走る野球部伝統の練習「弁天ダッシュ」で汗を流した。 弁天ダッシュは多賀章仁監督の前任者、故田中鉄也さんから引き継いだ40年以上続く走りこみ練習。急な坂道のカーブを上り切ると平らな道になるが、すぐに頂上までの長い坂道が待っているコースだ。この道を部員は1分10秒前後で走り、頂上で休むことなく、歩いてスタート地点まで戻り、再び頂上を目指す。これを15回繰り返すもので、近江の練習メニューの中でも最も過酷とされる。 だが、この日は「センバツが決まったから、ラスト1本行くで」と中村駿介主将(2年)が大声で追加を指示。選手らは「ガンバレ」「ラスト!」など声を掛け合いながら力を振り絞り冬の弁天山を最後まで走り切った。体力だけでなく、「逆境をはねのける」精神力も鍛えている。 2トップはいつも嶋村隆吾選手(同)と福田虎哲選手(同)だ。嶋村選手は「きついけどやればやるだけ力がつく」と話し、福田選手は「センバツも決まり、勢いよく走った」と笑顔を見せた。小森博之コーチは「1人だと乗り越えられないが、メンバー皆で走るから達成できる練習だ。弁天ダッシュは近江のパワーの源だ」と熱く語った。 ◇快報、庁舎に高らか 彦根市 センバツ出場の近江を応援しようと26日夕、地元の彦根市は庁舎正面に懸垂幕(縦540センチ、横75センチ)を掲げた。赤地に白抜きで「祝」の文字が浮かび、「甲子園出場! 近江高等学校」と縦書きしている。隣には全国高校サッカー選手権で準優勝した同校を祝う幕も掲示されており、近江の活躍をダブルで市民にアピールする形になった。 スポーツ振興課の職員は「選考委員会でも近江の強運を感じた。2年前の繰り上げ出場からの準優勝を思い出しワクワクします」と話していた。【伊藤信司】