甲子園はほかの球場とはこんなに違う! マウンドの形状、視界を遮るもの、外野守備の落とし穴……元阪神投手とPL出身投手が注意点を語る!
甲子園で起こる現象 観客の服装がボールと被ることがある
観客の目線が低い甲子園の設計は投手だけではなく、外野手の守備にも影響しているようだ。センターを守っていた冨田氏は、“あるもの”が打球判断の際の戸惑いを生んでいた。 「観客の服装ですね。観客の位置が高い球場ならばそれはないんですけど、甲子園は前列の方の服装がたまに影響することがあります。特に白の服装だと、ボールが被ってしまうので、見えにくく、出だしが少し分かりにくいところがあります。 外野守備はインパクトの瞬間、ボールがどこに飛ぶのかを判断しないといけません。打球が上がりきってからどこに打球が落下するのかを判断してからでは遅いんです」 甲子園は浜風についても気をつけなければならない。冨田氏は、甲子園練習の日が強風だったという。 「あのときはかなりの強風で、エラー連発でした。本番はそれほど風が吹いていなかったので、いつも通りの守備ができました。気をつけないといけないポイントですね」 試合中は相手側の大声援もあるが、冨田氏はレフト、センターと声とジェスチャーと身振り手振りを交えて連携をとっていた。 「僕たちの時は相手の応援で自分たちの声がかき消される経験はありませんでした。声でやり取りはできていたと思います。ただ、声だけではなく、必ずジェスチャーを加えることをやっていました」
PL学園は歩数で定位置を把握していた
外野手は普段通りの守備ができるように、自分の定位置を見つけることも大切だ。 「これはPL学園時代、藤原監督(現・佐久長聖監督)やコーチから学んだことです。 PL学園のグラウンドで、セカンドベースからセンターの定位置まで何歩でいけるのかを把握することを心掛けていました。 いつもと違う球場でなんとなく、感覚で定位置を決めると、同じ位置で守っているように見えても、実際は違ったりしているものです。 その時、PLで言われていたのは『自分のグラウンドで定位置にいくまでの歩数が分からないのに、他の球場で適切なポジショニング取れるのか?』といわれて納得しました。自分の定位置が分かるとフェンスまで何歩でいけるのかが分かり、さらに守りやすくなります。 あくまで一例ですが、出場校の皆さんは自分たちのやり方で甲子園に慣れて、本番で楽しんでほしいと思います」 冨田氏は試合の時間帯にも気を配ることも付け加えた。 「センバツは1日3試合で、準々決勝で4試合です。やはり1日の終盤になると、グラウンドが荒れたりするので、特に内野手の皆さんは、走路が荒れたりしていたら、自分でならすなど、ギリギリまで意識してほしいですね」 甲子園の雰囲気、球場の特性を知り、いつも通りのパフォーマンスができれば、勝利は近づいていくはずだ。