愛媛のクラフトビール 訪ねて味わう ゆったり まったり
愛媛のクラフトビールが面白いんです。造り手の思いやこだわりの詰まったさまざまなビールが次々と登場しています。ブルワリーを訪問してみると、さらに楽しい。ゆったり、まったり、味わいに行ってみました。(デジタル報道部) ■小旅行気分で味わう島のこだわりビール gogoshima beer farm(由良町803-1) 松山の高浜港からフェリーで15分。心地よい潮風に吹かれながら島へ降り立つと、気分はすっかり小旅行です。興居島の泊港から5分ほど歩いたところに、めざす「gogoshima beer farm」(ごごしまビアファーム)はありました。 オーナーは、2022年1月に横浜市から家族とともに移住してきた南雲信希さん(44)。もともと飲食店を経営していましたが、コロナ禍を機に、「いつかは瀬戸内の離島で暮らしたい」という夢をかなえました。空き家バンクで紹介された築150年の古民家を店舗兼醸造所にリノベーション。23年4月に本格開業しました。 「ゆったりとビール造りができるし、プライベートで子育てにもすごくいい。離島だけど、生活する上で特に不便を感じることもありません」。南雲さんは興居島での暮らしをすっかり気に入っています。 興居島でビール造りをするに当たり、南雲さんには地元産の農作物を副原料に活用したいという思いがあったそうです。最初に手掛けたのは、島の農家から提供してもらったイヨカンの摘果果実を使用した「イヨカンIPA」(1パイント1210円、ハーフ770円)。飲んでみると、柑橘の爽やかな風味とホップのほろ苦さが絶妙で、飲み飽きない味わいです。 南雲さんが「ブルワー」(ビール職人)として第一歩を踏み出したこのビールは、今年2月に「ジャパン・グレートビア・アワーズ2024」で金賞を受賞しました。南雲さんは「自分でもおいしいと思って造っていましたが、客観的な評価を受けたのは自信になります。それが自分の一番思い入れのあるビールだったので、余計うれしいです」と励みにしています。 それにしても古民家を改築した店内の居心地のよさは抜群です。柱や梁を残して歴史を感じさせる一方、リノベーションにより自然光を取り入れて明るく広々とした空間。時が経つのを忘れ、ゆったりとくつろげます。南雲さんの自慢は、ビールを注ぐタップハンドル。木工作家の手作りで、8カ所すべて違う形となっています。 2杯目に頂いたのは、店の中庭で自然栽培したレモングラスを使った「レモングラス・セゾン」(1パイント1100円、ハーフ660円)。こちらもレモングラスの爽やかな香りとセゾン酵母のスパイシーさがマッチ。アルコール度数は4%とやや低めで、軽やかな飲み心地となっています。一緒に注文したフィッシュ&チップスとの相性もバッチリ。ちなみにこの料理には愛媛でとれた天然マダイと県産のジャガイモが使われています。
愛媛新聞社