景気とインフレは直結しない タイムラグを考慮すれば急加速の可能性も
タイムラグを考慮すれば突如、「2%への道筋」が見えてくることも
また非常に単純かつ重要な論点として、2014年4月の消費増税と、2015年央以降から2016年央にかけての世界経済減速に伴う日本経済減速が大きく関係しているでしょう。これによって需給ギャップの解消が遅れたことが現在の低インフレを上手く説明しているように思えます。日銀短観に目を向けると、その時期の雇用人員判断DI、設備投資判断DIが双方ともマイナスに向けての動きが一服していました。 その後、2016年後半から世界経済が息を吹き返し、日本経済の拡大軌道が加速しつつあることを踏まえると、相応のラグを伴って日本のインフレ率が加速する可能性があるでしょう。そうなれば、政府はデフレ脱却に自信を深め「デフレ脱却宣言」を、日銀は金融緩和からの出口に向かうことが想定されます。現在、0%台前半で推移している新型コア物価が1%に向けて上昇を開始した場合、日銀は「2%への道筋がみえた」として出口戦略を具体化させるでしょう。それに伴って金融市場の動きが慌ただしくなることを想定しておくべきでしょう。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。