AI時代の仕事--消えゆく職務と新たに生まれる役割
管理スキルが「引き続き精彩を放ち、付加価値となる分野には、あいまいさに対処してAIを監督するタスク、直観とコンテキストが求められるクリエイティブなタスク、チーム間の共同作業が必要な役割などがある」とLee氏は付け加えた。 Magnuson氏が留意すべき重要な点として指摘するのは、AIの効果的な展開のためには幅広いスキルが必要であり、それは通常、1人の人間が持つものではないということだ。「技術的な能力とクリエイティブな経験を兼ね備えた有能なAI責任者を見つけることが極めて重要だ」とMagnuson氏。「このリーダーなら、すべての条件を満たすAIチームを編成することができる。通常、そうしたチームにはデータサイエンティストと機械学習エンジニアが含まれており、法務、IT、人事チームと連携することになる」 Lee氏は、そのような部門横断的な連携の例として、次のようなケースを挙げた。「フロントエンドエンジニアが、デザイナーや製品マネージャーと共同でユーザービリティーの問題を解決する。これは現在のAIにとっては難しい。なぜなら、ユーザービリティーの問題の人間的側面を最もよく理解して解決できるのは、やはり他の人間であるからだ」 しかし、現状に満足している余裕はない。Ghrist氏によると、ビジネスパーソンは「人間だけが独占的に持つ」スキルは存在しないことを認識すべきだという。同氏は続けてこのように語る。「AIはテクノロジーのあらゆるハードスキルとソフトスキルを強化できるようになるだろう。例外はない。共進化が鍵だ。協力して適応していく。したがって、最も価値のあるスキルは適応力だ」 それでも、基盤となる一部のスキルは、これからも基盤であり続けるだろう。「数学やコンピューターサイエンスのスキルは、AIの専門知識を習得する前提知識として、いつまでも重要だ」とGhrist氏は語る。「コーディングはこれからもずっと重要だが、それは自分でコーディングをするからではなく、AIコーダーのチームを管理することになるからだ。優れたマネージャーが皆そうであるように、チームを導くために十分な知識を備えている必要がある」 数学やコンピューターサイエンスに関連するあらゆるものが、「現在もこれからも、他のすべての技術的な作業に大きな力を与える」とGhrist氏。基礎的な能力に加えて、ソフトスキルが、たとえば「コミュニケーション、共感能力、創造性、野心などが、さらに価値を増す」 キャリアアップを目指すビジネスパーソンは、コースやトレーニングプログラムを探すか、AIスキルを取り入れた分野に注力する必要がある。「機械学習、深層学習、自然言語処理など、AIの基礎に対する理解を深めることを、すべてのプロフェッショナルに薦めたい」とMagnuson氏は述べた。「AIとその仕組みについて学ぶことは、技術者だけでなく、すべての人にとって重要だ。これは、インターネットについて誰もが理解しなければならないのと同じことだ」 Ghrist氏は数学とコンピューターサイエンスに重点を置くようアドバイスし、その理由について次のように説明した。「それらの知識がないと、仕組みが分からないまま闇雲に行動することになるからだ」。次に優先的に習得すべきは「適応力というソフトスキル」だと同氏は続ける。「AI技術が超直線的に進歩していく中で、大半の企業にとって最も難しいのは、その進歩に後れずについて行くことだ。ビジネスパーソンが時代の流れについていく最善の方法は、ソーシャルメディアフィードをうまくキュレーションすることだ。政治的なことは無視しよう。最先端技術の最新情報を検索してほしい」 Ghrist氏はこう結論づけた。「『もっと数学を勉強して、もっとTwitterを見よう』というのは風変わりなアドバイスだが、私たちは奇妙な時代に生きている」 この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。