コーヒー1杯で、カフェでのテレワークはどこまで許される?
パリの一部のカフェでは、テレワーカーに門戸を開いているものの、守るべきエチケットがある。 テレワーカーは増加傾向にある。スカンジナビア風の装飾が施された、とある小さなカフェは、キーボードを叩くテレワーカーやフリーランサー、学生などの常連客でにぎわっている。温かい雰囲気と、Wi-Fi、電源コンセントを備えたこの居心地のいいカフェは、自宅で仕事をするよりもはるかに快適である。だが、客にとっては恩恵が得られる場であっても、長時間居座られてしまうと、経営者にとってはメリットがない。カフェ側をイラつかせないには、どれくらいのテレワークが許されるものだろうか。
1食分に当たる注文をする
パリ11区にあるル・グラン・ブレゲ(1)では、テレワークが容認されている。広々とした店内には、さまざまな椅子が点在し、連日、常連客が仕事に取り組んでいる。1時間だけ滞在する人がいれば、午前中滞在する人や、1日中ずっと過ごす人もいる。カフェの従業員であるポールを困らせるほどではないにしろ、テレワークをする人にはふたつの条件が課されるという。ひとつ目は、滞在時間に応じてオーダーすること。「私たちは原則、かなり柔軟に対応しますが、1日中いらっしゃるお客様がコーヒー1杯しか注文していないことに気付いた場合は、丁寧にお知らせします」。 長居することを嫌がられないために、専門家は「1日のうちに少なくとも1食分に相当する量を注文する」ことを推奨している。 ふたつ目のルールは、ランチタイムになったら必ず食事を注文すること。そうしないと、店にとっては、稼ぎ時なのに収益が得られないとなると大きな損失になる。これは常識の問題だが、カフェに頻繁に通うという常連客の女性は、この件についてちゃんと気を使っているようだ。「私は朝か午後にカフェに来ますが、正午から午後2時までの時間帯は避けるようにしています」。そして彼女は午後に、カフェオレを注文するのが定番だが、時々は自分へのご褒美としてお茶や軽食を追加するという。「午後2時から午後7時まで、カフェラテ1杯に対し、およそ5 ユーロを支払っています。店側にとっては悩みの種になることは分かっていますが、私にとっては有益な過ごし方です。オフピークの時間帯なら、他の人の席を奪うことにはならないし、問題ないだろうと自分に言い聞かせています」