入団会見の言葉を実現 前人未到の偉業、迫った3冠王、世界一…大谷翔平、怒涛の1年
8月にサヨナラ満塁弾で40-40…自身初のPSでは第1戦で3ラン
打者専念の今季は本塁打だけでなく、オフに重点強化してきた走塁面でも飛躍を遂げた。7月には12盗塁を記録し、これまでの自己最多盗塁数を早くも更新。史上6人目の「40-40」の偉業に近づき、8月23日(同24日)の本拠地レイズ戦では、9回に自身初となるサヨナラアーチを満塁弾、しかも同時に「40-40」を達成する役者ぶりを発揮した。 大谷が記録を積み重ねる中、ドジャースは投打に故障者が続出。余裕の地区優勝かと思われた中、同地区のパドレスとダイヤモンドバックスが猛追し、一時はゲーム差が2まで縮まった。しかし、苦境を救ったのもまた偉才のバットだった。 「ヒリヒリする9月を過ごしたい」と語ってから3年。メジャー移籍後初めて味わう優勝のプレッシャーを感じさせず打棒を発揮した。極めつけは9月19日(同20日)の敵地マーリンズ戦。自身初の3打席連続本塁打を含む6打数6安打10打点2盗塁の大暴れ。この試合でメジャー史上初の「50-50」に到達し、米メディアからは「史上最高のパフォーマンス」とも形容された。 本塁打と打点はライバルに大差をつける一方、首位打者は最終戦までもつれる形に。4厘差の2位に終わったが、レギュラーシーズンでは159試合に出場して打率.310、54本塁打、130打点、59盗塁を記録。本塁打と打点の2冠、日本人初の「トリプルスリー」など、空前の偉業ラッシュとなった。 自身初のポストシーズンでは、パドレスとの地区シリーズ第1戦で同点3ランを放ち、一時は得点圏打率が8割以上と大舞台でも結果を残した。メッツとのリーグ優勝決定シリーズでは、同僚のマックス・マンシー内野手に並ぶシリーズ17出塁を達成。ヤンキースとのワールドシリーズでは第2戦で盗塁を試みた際に左肩を負傷するアクシデントもあったが、痛みを抱えながら最後までリードオフを務め、悲願の世界一を成し遂げた。 シーズン中には週間MVPを4回、月間MVP(9月)1回、本塁打、打点の“7冠”。老舗スポーツメディア「スポーティング・ニューズ」選出の年間最優秀選手にも選ばれ、選手会選出のナ・リーグ最優秀野手、正力松太郎賞特別賞も受賞した。最も活躍した指名打者(DH)に贈られる「エドガー・マルティネス賞」、そしてナ・リーグMVPを含め驚異の“15冠”。入団会見で語った「期待に応えられるように今後も全力で頑張っていきたい」との言葉を、まさに結果で示した1年だった。
Full-Count編集部