熊本のバス5社「共同経営」だと!? しかしそのデータ分析システムがすごかった!
■遅延時分や運行間隔を地図やグラフで可視化
そして九州産交バスの今釜卓哉課長が登壇し、熊本のバス「共同経営」について説明した。独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)のカルテル除外規定により、5社がダイヤや系統を調整するようにして路線の維持や効率化を図った結果だ。 同氏は成定氏とのトークセッションで、ダイヤ調整の事例を紹介した。Will Smart社のシステムを使えば、ICカードの乗降データやバス走行データを組み合わせて、区間ごとの乗車人数や遅延時分、前便との運行間隔などを簡単に地図やグラフで表示できる。今釜氏によれば「多くは現場の感覚で掴んでいた数字だが、可視化することで各社の経営陣との調整が容易になった」という。
■データ公表により沿線の理解を得る
共同経営5社らでは「バス・電車無料の日」などを繰り返し実施しており、その度に渋滞緩和やCO2削減などの効果をデータ化して公表している。「バスが苦しいから支援してくれ」ではなく、社会の便益をアピールし市民の理解を得て自治体などの支援を得る方針は長い目で見れば至極まっとうな方法だと感じた。 これまで現場の「経験と勘」が中心だったバス業界だが、データ分析による科学的な経営を目指す時代が来たようだ。