釜石・野田武則市長の会見(全文1)住まいや暮らしの再建が第一の目標
ラグビーW杯、2019年開催 3.11の教訓を世界に発信したい
幸い、三陸におきましては復興道路、あるいは復興支援道路という形で、道路の整備が一段と加速して進められております。このことによる、いわゆるストック効果によりまして、非常に企業誘致等も進められているところでございまして、今後の展開に大きな期待を寄せているところであります。 釜石に限らず被災した岩手の三陸地域におきましては、なんと言っても水産業が基幹産業でございます。衰退した水産業を再建をしながら、漁村集落をいかに守っていくかということがわれわれの大きな課題でございます。さまざまな企業誘致も進めながら、その基幹産業である水産業のこれからの再建に全力を尽くしていきたいと思っております。 釜石というと皆さんもご存じのとおり、釜石は鉄と魚とラグビーの町として、多くの方々にその名を知られているところであります。昨年は橋野鉄鉱山というところが明治日本の産業革命遺産の、23の構成資産の1つに選ばれまして、いわゆる世界遺産に登録が決定をさせていただいたところであります。そして昨年、もう1つの明るいニュースをいただいたわけですが、それは2019年のワールドカップ、日本で開催するわけでございますが、その12の会場の1つに釜石も選んでいただいたということで、釜石市として大変喜んでいるところであります。 ただその12の会場の中の1つに選ばれましたけども、その12の会場の中で唯一スタジアムのないのも釜石でございまして、いわばゼロからのスタートということでございます。課題は山積をしておりますが、国、県、そしてまた各応援される方々の協力をいただきながら、なんとかこのスタジアムの建設を進めながら、2019年に世界各国から多くの方々をお招きをしたいと思っております。2019年にはたぶんといいますか、それぞれ、釜石のみならず被災した地域の復興が、ある程度その形が見えてくる時期ではなかろうかと思います。今日までさまざなご支援とご協力をいただいた全国の方々、あるいは全世界の方々に、その感謝の気持ち伝えるためにこのワールドカップを釜石で開催したいと考えているところであります。 3.11の今回の経験は言葉に尽くせないたくさんのことが含まれております。それぞれの被災された方々の尊い人生そのもの、それから3.11当日の救助行動の在り方、あるいは避難所での生活、避難所から仮設への移動、こうしたさまざまな課題がありました。特には亡くなられた方々のご遺体との関わり、あるいはがれきの撤去、あるいはまたガソリンとか灯油の燃料が不足し、市内が混乱したこと、さまざまなことが挙げられるわけであります。そして何よりも新しいまちづくりのための地域の皆さんとの合意形成の在り方、そしてまた、さまざまな制度の中でやりくりしながら、この復旧・復興に取り組まざるを得なかったこの月日、さまざまな課題がございます。そうしたものを全て検証しながら、次に起こりうるかもしれない東海、東南海、南海の地域の皆さま方、あるいは全国の方々、あるいは全世界の方々にその教訓をお伝えをしたいものだと思っております。 私たちがラグビーのワールドカップを釜石で開催をするというのは、単にラグビーを通してまちづくりをしたり、あるいはまた次の世代の子どもたちに夢と希望を与えるというだけではなくて、いま申し上げました3.11の教訓をぜひ、世界に発信をしたいと思っているからであります。 さまざまな課題がありますが、それを1つ1つ乗り越えながら、ぜひ世界の方々に釜石、あるいはまた岩手の三陸に、そしてまた宮城、福島の被災地に、ぜひ来ていただけるようにお願いをしたいと思っております。 取りあえず以上で私のお話を終わらせていただきます。あとは皆さんのほうからいろいろとご質問いただければありがたいと思います。