今夏は異例の猛暑 北海道で牛258頭が病気に 過去10年で最多
今年7~9月に北海道内で日射病や熱射病にかかった牛が乳用、肉用合わせて258頭に上ったことが道のまとめで分かった。このうち105頭が死亡または廃用となった。発生数は2022年比で6倍に上り、過去10年で最多。冷涼な北海道でも猛暑が牛に大きなダメージを与えたことが浮き彫りになった。 道内の家畜保健衛生所に聞き取ってまとめた。内訳は乳用牛が215頭(うち死亡または廃用が88頭)、肉用牛が43頭(同17頭)。同様に暑い日が続いた21年と比べても発生頭数はそれぞれ84頭、27頭多かった。 今夏の北海道は全道的に気温が高く、最高気温が35度以上の猛暑日も各地で観測。牛の体調が悪化し、ホクレンの生乳受託乳量が8月下旬に前年同期より1割減るなど乳量にも大きな影響が出た。 道は「例年盆明けの8月後半以降は暑さが和らぎ発生が減るが、今年はその時期を超えても各地で記録的な猛暑となり、発生数を大きく押し上げた」(畜産振興課)と指摘。8月16日~31日に限ると乳用牛が122頭、肉用牛が23頭で発生したという。22年の同期間の発生は乳用牛1頭だけだった。 道は来年以降に向けて、牛舎にミスト装置を設置するなど、暑熱対策を強化するよう促している。 他の畜種では、豚が20頭で発生し、全頭が死亡または廃用となった。採卵鶏では大規模農場で発生したため3万7259羽に上り、全て死亡または廃用となった。(松村直明)
日本農業新聞