『ふざけんじゃないよ!』『検察なめんなよ!』大声で怒鳴り続ける検事…“恫喝”的な取り調べ映像が法廷で再生 無罪の元社長「検察官ひとりの問題ではない」
MBSニュース
「何言ってるんだ!」「検察なめんなよ!」これは5年前、学校法人の土地取引をめぐる横領事件での取り調べで検事から発せられた言葉です。公開された映像からは、“恫喝”とも言えるような取り調べで、検察にとって都合のいい証言を引き出そうとしているように見えます。この取り調べは違法の疑いがあると指摘されています。 【2019年12月8日 田渕大輔検事の取り調べ映像】 (山岸氏の当時の部下)「事実は実際に何も変えて言っているわけではないので」 (田渕大輔検事)「変えてるじゃないか!!!思い切り変えてるだろうが!!!変えてるだろう!!!」 (山岸氏の当時の部下)「自分の考えで…」 (田渕大輔検事)「変えてるじゃないか!!いい加減にしなさい!!」 大声で相手を怒鳴り続ける当時の特捜部検事。衝撃的な映像が法廷で再生されました。 不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん(61)は、学校法人の土地取引をめぐる巨額横領事件に関与したとして、大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、248日間も拘置所で勾留されたものの、3年前に無罪が確定。 山岸さんは「客観的証拠を無視し関係者に虚偽の供述を強要した」として、国に賠償を求める裁判を起こしていて、その法廷で当時の特捜部検事が山岸さんの当時の部下を取り調べた際の映像が追加で公開されることになったのです。 この取り調べが始まる前、部下の男性は自身の関与や山岸さんの関与を否定していましたが… 【田渕大輔検事の取り調べ映像】 (田渕大輔検事)「バンッ(※机を叩く音)。うそだろ。今のがうそじゃなかったら何がうそなんですか。何を言っているんだ!ふざけんじゃないよ!ふざけるな!何てことを言うんだ、あなたは。家族に誓って、良心に誓って、うそをつかないって言ったのに、うそをついてまだ言い訳するなんて、ひどいだろ!ひどすぎるじゃないか!」 机を叩いたあと、執拗に怒鳴り続ける田渕検事。 【田渕大輔検事の取り調べ映像】 (田渕大輔検事)「私は何度も確認したじゃありませんか!うそをついてないですかと。何でこんな見え透いたうそをつくんだ!社内で共有までして!しかもそれをいまだに否定するなんて!どういう頭の構造してるんですか!どういう神経してるんですか!」 人格を否定するような侮辱的な発言も飛び出します。そして… 【田渕大輔検事の取り調べ映像】 (田渕大輔検事)「いいですか、お試しで起訴なんてことはありえないんだよ。お試しで逮捕なんてありえないんだよ。まず捕まえてみて、どうなるか分かんねえから、調べてみて、しゃべったら起訴しようとかじゃないんだよ。俺たちはそんないい加減な仕事はできないんだよ。人の人生狂わせる権力持ってるから。検察なめんなよ!命賭けてるんだよ、俺たちは。あなたたちみたいに金をかけてるんじゃねえんだ。かけてる天秤の重さが違うんだ、こっちは」 こうした一連の取り調べの後、当時の部下は自身の事件への関与を認めたほか「山岸さんが事件に関与した」とする供述に転じました。特捜部はそれを根拠にして山岸さんを逮捕・起訴したのです。 (プレサンスコーポレーション元社長 山岸忍さん)「改めてひどいなと思いましたし、田渕検察官ひとりの個人の問題ではないと思うんですよね。やっぱり組織改革をしていただかないと、またこういう問題が起こりますし」 田渕検事は一連の取り調べをめぐり、特別公務員暴行陵虐の罪で刑事裁判にかけられることも決まっています。元検事の西山弁護士はこうした威圧的な取り調べについて、やはり「組織的な問題もある」と指摘します。 (元検事 西山晴基弁護士)「自分がこうだと思ってもなかなか意見が通らないような環境にはなってしまっていて、やっぱり誘導だとか、脅している取り調べになってしまっているという心理状態はあるのかもしれないです」
MBSニュース