「ルルレモン」、環境団体からグリーン・ウォッシュの指摘を受ける
ルルレモンは具体策を持って取り組んでいると主張
ルルレモン側は、30年を達成年度とする気候目標に向け具体策を持って取り組んでおり、50年までにネットゼロを目指していると主張する。米ソーシング・ジャーナルの取材に対し、同社の広報担当者は「22年はスコープ3において製品単位での削減を計測した。他社と同様に、より精緻な数値を得るため計測方法の改善にも取り組んでいきたい」と話した。そして、「再生可能エネルギーへの完全な切り替えと、自社および運営施設において温室効果ガスの絶対排出量を60%削減する目標をクリアしたことを誇りに思う」と付け加えた。
スタンドアースはこれまでにもルルレモンの取り組みを批判している。過去2年間ではカンボジアや中国、ベトナムの石炭火力発電所に強く依存していることを非難。また「H&M」や「ナイキ(NIKE)」などが、インフラが不足する地域での再生可能エネルギーの利用拡大に向け政府や産業に働きかけているのに対して、非協力的であるとも指摘した。スタンドアースは繰り返しルルレモンの経営陣に警告してきたにもかかわらず行動を起こさず、自分たちを環境問題に取り組む先駆的企業と位置付けている点が問題だという。
ルルレモンは、非営利団体「アパレル・インパクト・インスティチュート(Apparel Impact Institute)」の気候変動対策の資金に1000万ドル(約15億円)を出資したり、25年までに少なくとも75%の素材をリサイクルや再生素材に切り替えると公約し、植物由来原料の素材開発などを進めたりしている。また、「ニュー・クライメート・インスティテュート(NewClimate Institute)」の分析では、自社の事業におけるエネルギー使用や排出量について詳細な情報開示を行っていると高評価を得ている。
しかし、スタンドアースはルルレモンはさらに高い目標を掲げるべきだと話す。同団体が化石燃料に依存しないファッション企業を評価する指標では、ルルレモンの評価はC-で気候目標が競合よりも遅れをとっているとコメントした。
バーマンは「ルルレモンは、地球をより健康的な場所にするというメッセージを掲げるべきではない。サプライチェーン全体から化石燃料を排除するための、意味のあるコミットメントと透明性のある計画の発表を求めたい」と話した。