生活の常識が変わる ディスポーザー導入を進める自治体の狙い
テレQ(TVQ九州放送)
ディスポーザーという家庭用の機械をご存じでしょうか。台所の流しに設置し、生ごみを細かくして下水道に流すという装置です。いま全国で家庭での導入を進めている自治体が出てきています。そこには。暮らしやすさとの密接な関係があるようです。 ディスポーザーを2年前に設置した中間市の貞末さん。費用は約15万円。設置したことでごみ捨ての負担がかなり減りました。一般ごみの回収は週に2回。ディスポーザーを使えば、その都度、生ごみを処理でき、大変だった食事の後片付けが、かなり楽になりました。 中間市民 貞末一子さん 「臭いもなく、一瞬にしてなくなるっていうのがびっくりしました。機械を買った中で一番良かったかな」 ディスポーザーは、筒状の固定刃と回転刃を使い生ごみを5ミリ以下に粉砕して排水と一緒に流します。ディスポーザーについて街で話を聞くと。 市民 「あったら便利かなと思いますね」 市民 Q.約15万円の費用は 「妥当でしょう。10万円以内ならまだ良いけどね。9万9000円とか」 Q.自治体で補助してくれたら 「(導入を)考えますよね」 興味を持つ市民は多いようですが、一方。 市民 「(ディスポーザーは)やっぱりいけない。環境に」 こんな否定的な声も。そうした声の背景にあるのは、40年ほど前、アメリカから輸入されたディスポーザーが生ごみを排水とともに川に流すというシステムだったため、河川を汚すほか、排水管を詰まらせるなど、問題が多く当時は設置が広がりませんでした。ただ最近では下水道が整備され、ディスポーザーも技術面で進化したといいます。中間市のフロム工業。安川電機で以前、ディスポーザーの開発担当をしていた尾畑会長がアイデアを出し、これまで難しかった一部の生ごみも細かくすることができるようになりました。 フロム工業 尾畑宇喜雄会長 「枝豆の皮とか 玉ねぎのうす皮とか、そういうものも粉砕できるんですが、今までそういうものは粉砕できていませんでした。回転刃固定刃などの開発を常に開発をやっています」 この企業は、国内だけではなく中国にも製品を輸出するなど、年間1万2000台を生産しています。 「日本全国でディスポーザーを下水道にそのまま流していいという風な方向になっていければ、今までダメだと思われてるディスポーザー、これを九州発で、ディスポーザーアイランドにしたいという思いでいる」 現在、全国27の自治体でディスポーザーの利用を促進する動きがあります。その中で、福岡県内唯一、ディスポーザーの設置を進めているのが中間市。ディスポーザーを設置する家庭が増えれば、ごみ出しの負担が減り、暮らしやすさにつながると考えているのです。 中間市下水道課 畑瀬いずみさん 「少しでも 設置していただけるように、ハウスメーカーなどを回ってですね。新築の時点で、ディスポーザーを設置してもらえないだろうかというのを、ちょっと営業活動させてもらってます」 中間市は4年前、福岡県に対し、ディスポーザーの一般家庭での実証実験を要望し、実施にこぎ着けました。 「(生ごみが)下水道に詰まるんじゃないかとやっぱり多少は思ったんですが、(先行に導入する)23市町のアンケート調査を聞いて、何も問題なかったっていうのを聞いたので、安心して、ぜひこの事業を進めていきたいっていうふうに取り組んでまいりました」 ディスポーザーは、中間市では現在57世帯に設置されていますが、排水管詰まりなどの問題は発生しておらず、まず150世帯まで増やしたいと考えています。 「ディスポーザーを付ければ、いい生活ができるんじゃないかなと思っておりますディスポーザーをつけられる中間市にぜひ住んでいただけたらなと思っております」 全国で27の自治体が設置を認めているディスポーザー。先取りした自治体では、一歩踏み込んだ取り組みが始まっていました。ディスポーザーの設置で、先行している自治体、富山県黒部市。ディスポーザーは、生ごみを減らすだけではなく、細かくして流すため処理場で下水の堆積物を活用する仕組みをつくりました。ガスを発生させて燃料にする取り組みです。 黒部市上下水道経営課 長谷川奈渚さん 「ごみが確実に減ることから、ごみ焼却場での処理、処理費の低減にも繋がりますし、そのバイオガスに利活用していることから、今ちょっと話題のそのSDGsにも貢献している」 黒部市では、ディスポーザー購入に最大3万円の補助を出し、普及を図っています。処理場でつくるガスは発電にも使われ、下水の有効活用の目玉となっています。ただ、まだ広がりが十分とは、言えないディスポーザーという設備。課題は何なのでしょうか? 日本大学生産工学部 森田弘昭教授 「下水道が詰まる、あるいは処理場がパンクするというイメージを持ってる方が圧倒的に多いですね。正しい情報を伝えていく、それから徐々に普及していくんじゃないかというふうには思っています」 ごみ出しの負担が軽減されるほか、その下水でガスや発電という新たな可能性も見えてきたディスポーザー。生活の常識を変える設備になるかもしれません。
テレQ(TVQ九州放送)