富士山「入山規制はまだ甘かった」ことが明白に 2024年は一定の効果も規制強化の方向へ
また、1日4000人の入山規制規模や2000円という料金設定については「上限人数、ゲートの閉鎖期間、通行料の設定の3点については見直しを議論していきたい」とさらなる規制強化の考えをにじませた。 一方、今年5月に就任したばかりの静岡県の鈴木康友知事は、10日会見で今後、山梨県と足並みをそろえ「条例による登山規制及び通行料の徴収を検討することとした」とし、今月下旬から現地調査を行うと語った。遅ればせながら、静岡県も規制強化に進むということだ。
この富士山のオーバーツーリズムをめぐる問題は、当然、国もアクションを起こすべきだ。 今年7月の観光立国推進閣僚会議で岸田文雄首相は、富士山のオーバーツーリズム対策について年内の指針とりまとめを指示。「地域のオーバーツーリズム対策において国有地など国の関与が支障にならないよう、政府を挙げて、積極的に協力してください」と言及した。 ■次期首相はオーバーツーリズムにどう対処? 岸田首相はこの秋でトップの座から退くことが決まったが、次期首相がこのオーバーツーリズム問題をいかに解決していくのか、目が離せない。
「政府は2030年に6000万人というインバウンド誘致目標を掲げ、観光需要の拡大化を図っています。来年9月の世界陸上(東京)、2026年秋のアジア大会(愛知・名古屋など)といった国際的なスポーツイベントも控える中、6000万人誘致達成が優先され、オーバーツーリズム対策は後手に回る恐れも拭いきれません」(政界関係者) 富士山という日本を象徴する貴重な世界文化遺産をオーバーツーリズム被害からどう守っていくのか。政府のインバウンド6000万人誘致最優先の観光立国政策をきちんと検証し、常にチェックしていかなければならない。
山田 稔 :ジャーナリスト