<劇場版モノノ怪>中村健治監督×神谷浩史対談(2) “新生”薬売りが生まれた瞬間 収録秘話
神谷さん 僕は、中村監督の作品に出演させていただくのは初めてなんです。ただ、何となく周りから漏れ聞こえてくる中村監督のスタジオワークが、あまりにも現実離れしていて。時間をかけて収録をすると。なぜ時間がかかるかというと、収録を始める前に、中村監督の口から役者に説明する時間があるわけです。僕はその時間は、とても大切だと思うのでいいんですが。ところが、今回はそういうものが一切ない状態で始まっているってことですよね。ほかのキャストの方に説明する時間は多少あったのですが、それでも思っていたより早く始まるなと思って。
中村監督 急いでブースに戻ったので(笑い)。感覚としては、釣った魚を早くさばいてもらわなきゃみたいな。これは、冷凍して解凍するとよくないから、一番いい時にお願いします!みたいな。なんというかピチピチしていたので(笑い)。神谷さんは、自分ですごく考えられる方だなというのは、ビリビリ伝わってきていたので、当日にオーダーすることもほぼなかったです。神谷さんの解釈を僕らは聞かせていただこうみたいな感じでしたね。
約17年ぶりの新作「劇場版モノノ怪 唐傘」の薬売りについて、中村監督は「熱がある」と語っていた。情念が渦巻き、モノノ怪が潜む大奥に分け入っていく新たな薬売りが生み出された収録現場もまた熱いものだったのだろう。“新生”「モノノ怪」が見せる世界をスクリーンでじっくりと味わいたい。