「私の仕事は走ること。でも…」陸上・田中佑美(25歳)が“モデルハードラー”の肩書に思うこと「違う角度からファンを呼び込むのも大切だと思います」
後輩に「モデルですもんね」と言われて…(笑)
幼少期からクラシックバレエを習い、宝塚音楽学校を目指していただけあって、カメラの前に立つのに苦手意識はなかった。モデル挑戦は、シーズンインにむけて心のチューニングを合わせるという意味合いもあったようだ。 「でも、アスリートとモデルの二刀流だと誤解されがちなんです。この前も後輩に『佑美さん、モデルですもんね』って言われて。私としては『アスリートを可愛くしてみました! 』という趣旨の企画をお受けしているだけで、モデルを職業としているつもりはないのですが……(笑)」 田中はあくまで「アスリート100%」と言うが、メディアの“モデルハードラー”という肩書きだけを見ると、モデル業と両立していると勘違いする人もいるだろう。こうした誤解が広がり、競技外の部分に注目が集まると、「競技に集中するべき」などと中傷されるリスクも生まれてしまう。 彼女自身も「自分のコントロール以上に話が広がっていくので、より一層振る舞いに注意しなきゃと思っています」とこう続ける。 「私の仕事は走ることなので、そこにフォーカスしていくスタンスは変わりません。SNSを積極的に使うタイプではないですし、プライベートを切り売りする必要はないのかなって。ただ、こうして注目度が上がったのも、足が速いからではなく他の要素もあってのことだというのは理解しています」 田中のように、アスリートがファッション誌や美容雑誌に登場し、ビジュアルで注目されることは、競技に関心のない層を取り込むきっかけになる。一方、あまりにも話題が先行してしまうと、「結果で注目してほしい」と複雑な思いを抱く選手も少なくない。 田中自身は、ビジュアルという窓からも自身のファンが増えていることを、率直にどう受け止めているのだろうか。 「私はポジティブに受け止めています。スポーツって見られてこそ、応援されてこそ成り立つものだと思っているので。そういう面では、陸上って認知度は高いけれど、人気が高いかと言われたら微妙なところですよね。来年は東京世界陸上で盛り上がるチャンスですが、陸上界だけでワイワイしていてもやはり限度がある。もっと競技を発展させていくためにも、違う角度からファンを呼び込むのは大切だと思うんです」 例えば、近年盛り上がりを見せる男子バレーも、その実力はもちろんのこと、ビジュアルを含めたタレント性が高い選手が多い。写真集やコラボグッズは飛ぶように売れ、会場では“推し”のうちわも目立つという。 世間に競技を認知してもらうだけでなく、実際に試合会場に足を運んでもらうためには、多方面からのアプローチが効果的なのだろう。 「ビジュアルであろうと、自分の色んな面を介して競技を見てもらえるのはうれしいですよね。もっと言うなら競技成績だけでなく、競技との向き合い方とか、私の内面にまで興味を持ってもらえたらすごく幸せなことだなと思っています」
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