松本国際が5ゴールで長野吉田下し4強入り!序盤苦戦も準備してきたCKでこじ開けた
5月28日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)長野予選の準々決勝が開催。あがた運動公園で行われた第1試合では松本国際が長野吉田を5-0で下し、準決勝に進出した。 【フォトギャラリー】松本国際 vs 長野吉田 「リーグ戦はトントンの相手か格上の相手というイメージで戦えるので必然的に挑戦者になっていくけど、どうしても県大会になると自分たちも周りも勝って当たり前みたいな雰囲気になってしまうので、それがちょっと違うなと。このゲームはこのゲームでトーナメント。リーグは負けても次があるけど、トーナメントはないので」 勝沢勝監督が試合後にそう話したように、松本国際にとってはトーナメントを戦う難しさが感じられる試合となった。 開始直後の1分、松本国際にいきなりのビッグチャンスが訪れる。立ち上がりから攻勢に出た松本国際はFW7下野善生が前線中央をドリブルで突破。GKと1対1の決定機となったが、前に出てきたGK1吉田源人にシュートをセーブされてしまう。 早くも決定機を作り、試合の入りは上々と思われた松本国際。しかしここから思わぬ苦戦を強いられる。 「バタバタしていて力が入りすぎだなと思いました。気持ちが入るのは良いんだけど、どこで力を入れるのかがズレている」と指揮官が振り返ったように、「強度を高める意識でやっていたんですが、逆にそれで硬くなってしまって、自分たちのサッカーが出来なくなっていた」(下野)。気合が攻め急ぎに繋がり、攻撃が単調になってしまった。 ここから、このピンチを切り抜けた長野吉田が奮闘を見せる。左SBのDF16大沢悠純が果敢なオーバーラップからチャンスを作れば、MF10長谷川太陽とFW18千野尚紀は息の合ったコンビネーションで中央突破を試みる。千野は前線からプレスを仕掛け、相手GKのキックを引っ掛けるなどゴールに迫り、CBのDF3竹内陸斗とDF4久保周斗も身体を張った守備でゴール前に立ち塞がった。 そんな嫌な流れの松本国際を救ったのはCK。相手ゴール前に固まるパターンや、PAライン付近で固まってキック直前にそれぞれが流れ込むパターンと、バリエーションを用意。30分には右CKを得ると、流れ込むパターンからDF3渡邊智紀が頭で決め切り、先制ゴールを奪った。 その直後の31分には、FW9吉村大樹が裏に抜け出すと右足でゴール左に流し込み追加点。 「1点目が入ってから2点目もすぐ取れたので、あれでチームが完全に落ち着いた」(勝沢監督)この連続ゴールで硬さが取れた松本国際。ここからはFW11関泰洋を中心に左サイドを攻略し、ゲームを支配。39分には再びCKから渡邊がドンピシャヘッドでネットを揺らし3点目。 序盤はトーナメント特有の重圧に苦しんだが、セットプレーからの得点をキッカケに持ち直し、前半の終盤に3得点を奪いゲームを決めた松本国際。後半は45分に途中出場のMF渕脇向陽が4点目を挙げると、58分には下野の突破から、こちらも途中出場のDF17中村星斗が頭で決めて5-0。危なげなくリードを広げ勝利を収めた。 この試合、松本国際は関とDF4宇留賀大希を中心とした左サイドの良さが目立った。「ケガの影響でお互い県大会は今日が初出場だったんですが、問題なく出来ました」とはキャプテンマークを巻いた関。「宇留賀君とはずっとサイドでコンビを組んでいるので、内に入ったり外に入ったり、流動的に動いてアイコンタクトでも意思疎通が出来ている」と息の合ったポジション取りと、追い越しの動きで何度もクロスやフィニッシュに結び付けた。 さらに下野もその左サイドに良いタイミングと距離感で絡んだ。「松本国際でフィジカルも足元の技術も重点的に伸ばしてきました」という下野は中体連出身(上松中)。サイドにも顔を出しながらコンビを組んだ吉村と共に切れ味鋭い動きで攻撃を活性化させた。 そしてやはり大きかったのが先制点。関は「相手の確認もして、自分たちのバリエーションも前日に確認していました。練習の成果が出た」と準備してきたセットプレーがスイッチを入れてくれたと喜んだ。 これで松本国際は4強入り。県代表を勝ち獲るまであと2つだ。「県ヶ丘に負けた時(長野中信予選の準決勝)は0-1、プリンス開幕戦(星稜2nd戦)も0-2。あとは勝ちか引き分けなので、先制された試合はまだ勝てていない」とは勝沢監督。ここからはよりシビアな展開も予想されるだけに、逆境に立たされたところから盛り返す力も必要になってくる。 「(昨年)自分たちは選手権メンバーに8人入って。その全国の景色を見たメンバーがチームの基準をもっと引き上げて、この夏に全国を経験することがめちゃくちゃ大事なので、そのためにもあと2試合絶対に勝って全国に行きたい」(関) 再び全国の舞台に立つため、松本国際の本当の戦いはここからだ。 準決勝に駒を進めた松本国際は6月1日に上田西と激突する。 (文・写真=会田健司)