近江、堀越に3発完勝!快進撃止まらず初の決勝へ
第102回全国高校サッカー選手権大会は1月6日、東京・国立競技場で準決勝が行われ、第2試合は近江(滋賀)が堀越(東京A)を3-1で下し、3度目の出場で初の決勝進出を果たした。1月8日に同競技場で行われる決勝で、昨季のプレミアリーグ・ファイナルを制した青森山田(青森)と顔を合わせる。 【フォトギャラリー】近江 vs 堀越 3-4-3の攻撃的な陣形を取る近江は、立ち上がりからドリブルと短いパスを組み合わせ、能力の高い攻撃陣が次々と堀越陣営に入り込んだ。多くの選手がやすやすと中央突破をこなす技量を持ち合わせていた。 前半11分、MF山門立侑(3年)がスピード豊かに真ん中から持ち運んで右足シュート。相手DFに当たって右にこぼれたボールをMF鵜戸瑛士(3年)が、豪快に右足で蹴り込んで先制した。 さらにこの2分後、複数の選手がまたもや中央からぐいぐい進出。鵜戸の右からのシュートはDFに当たり、ボランチ西飛勇吾(3年)がセカンドボールを狙ったが、これもDFにクリアされた。ところがまたそのこぼれ球に反応した山門が押し込み、早々に2点を先取する抜け目のない攻撃を披露した。 22分の3点目にしても、人手を掛けた中央からの分厚い攻めで奪ったものだ。 左ウイングバックで主将の金山耀太(3年)が、ドリブルで中央突破すると、FW小山真尋(3年)を経由して山門がシュート。金山が今度もまたこぼれ球を決めるなど、攻略しにくいはずのセンターラインを切り崩しての3ゴールは、速さと技術と連係が合体した驚くべきものだった。 堀越の佐藤実監督は「個々の技術が高く、(攻撃の)選択肢を持っている選手が多い。中盤で止められず後ろから加勢され、対策を考えているうちに失点を重ねてしまった」と近江の速さ、すごさに脱帽した。 堀越は相手の攻めを食い止めるのに労力を消費し、前半は大半の時間帯で守備に追われてしまい、1本のシュートも打てなかった。 後半に入っても近江の優勢は変わらなかったが、堀越は4-3-3でスタートした陣形からまず3-4-3に変え、終盤には3-5-2にして1点を奪いに出た。 3分にチェンジサイドのパスを右サイドで受けた主将のFW中村健太(3年)がシュート。中村は16分にもミドルで近江ゴールを脅かし、38分にはFW髙谷遼太(3年)も中距離砲で得点を狙ったが、ゴールを割るには至らなかった。 それでもアディショナルタイム、髙谷がロングパスを左サイドで受け、後方から走り込んできたFW高木琉世(3年)に預けた。高木の突破からPKを獲得し、中村がGKに反応されながらも右に沈めて意地の1点を返した。初のベスト4に進んだ堀越が、国立競技場で決めた初ゴールでもあった。 佐藤監督は「ここでプレーできたこと、近江さんのような素晴らしいチームと戦えたこと、負けはしましたが選手に感謝したい」と述べた。 東京代表として国立競技場でプレーした意義を問われると、「戦ってきたTリーグの仲間にも、ここまでやれるぞというものを見せられたと思う。Tリーグのレベルは決して低くない。勇気と希望を与えられたかなと感じます」と胸を張った。 Tリーグとは高校生年代が競う東京都内のリーグ戦のことだ。 (文=河野正 写真=矢島公彦)