異国の店主と土地の味/韓国料理店『韓国料理 慶美』
徐 そうですね。でも、若くして日本へ来たから、実は料理の知識はほとんどなくて、韓国料理の作り方すら身についていなかったんですよ。だから、13年勤めた焼肉屋を辞めてから、都内の韓国料理店で一から修行を始めたんです。焼肉屋の店長が、「営業規模が大きいお店と小さいお店、繁盛しているお店とそうでないお店などいろんな場所で働いて、それぞれのいい部分と足りない部分を見極めて自分のお店作りに活かしなさい」とアドバイスをしてくれたので、10年間は様々なお店を転々としましたね。2012年になって、ついに自分のお店をオープンできました。
土井 このお店の味に関しても、修行で勤めた数々のお店で教わった調理法を自分なりにアレンジされたんですか? 徐 韓国料理といってもお店ごとに味も作り方も違ったのですが、宮廷料理式で作っているお店に勤めてその味に惹かれてからは、それまでのやり方から一変して宮廷料理の伝統的な手法だけで作るようになりました。その時の経験がお店の味の基礎になっています。
土井 お客さんが気持ちよく過ごせるこのお店の雰囲気も、どこか落ち着く美味しい味も、いくつものお店に勤めて修行を重ねたからこそたどり着いたものなんですね。 徐 宮廷料理の調理法は、既存のタレなどを使わずに仕込みをするので正直大変です。でも、誰かが本場の味を知らせていかないと! という気持ちで日々頑張っています。移転オープンもしたばかりですし、もっと日本人の方に来ていただいて、韓国の伝統的な味を楽しんでもらえたら嬉しいです。
インフォメーション
◯東京都北区赤羽2-9-1 TKCビル1F ☎︎03・6454・4149 11:30~15:00・17:00~22:30(日曜日のみ通し営業) 火休 interview: Hikaru Doi, photo: Kazuharu Igarashi, text: Shoko Yoshida
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