6基の曳山、坂の町華やかに練る 富山で越中八尾曳山祭
栄華を極めた江戸時代の町人文化を伝える「越中八尾曳山(ひきやま)祭」が3日、富山市八尾町中心部で行われ、青空の下、絢爛(けんらん)豪華な装飾を施した曳山6基が坂の町を優雅に練り回った。 曳山を所有する6町の曳山が聞名寺(今町)に勢ぞろいして出発式があり、祭りを取り仕切る八尾壮年団の金厚伸大郎団長があいさつ。越中八尾曳山保存会の嘉藤稔副会長が昨年の豪雨や元日の能登半島地震に触れ「これ以上災害が起こらないようにという願いを込めて引き回し、八尾の曳山の素晴らしさを存分にPRしてほしい」と述べた。 露払い役を担う鏡町の獅子舞、みこしに続き、上新町、諏訪町、東町、今町、下新町、西町の順に古式ゆかしい曳山囃子(ばやし)を奏でながら出発。各町の引き手が「ほうりきのみっつのようかんぼう」のかけ声に合わせて綱を引くと、木製の車輪をきしませながら動き出した。曲がり角では法被姿の男衆が力強く向きを変える「角回し」を行い、大勢の見物客から拍手と歓声が湧き起こった。
夜には装飾を数百個のちょうちんに付け替えた曳山が巡行し、一帯が幻想的な雰囲気に包まれた。 同祭は八尾八幡社(下新町)の春季祭礼で、280年以上の歴史がある。1741(寛保元)年、上新町の花山に人形と役者を乗せて引き回したのが始まりとされる。6基とも県有形民俗文化財に指定されている。