社長として、妻として、周りを幸せにしながらブランドも育てていきたい|Ameri VINTAGE 代表取締役/ディレクター 黒石奈央子さん|STORY
夫はタイプではありませんでしたが、トータル的には私と合う気がしたんです。ときめきは無いけれど、穏やかで優しいし、不安になる要素が無い。結婚したらうまくいきそうだなと思いました。そんな冷静な分析に基づいて、全然好きじゃないのにご飯に誘ってみたんですよ(笑)。彼も積極的な人ではないので自分から誘うしかなくて、何回かデートはしたものの、「いい人だけど、やっぱり好きとは違うな~」という状況が続きました。半年くらい様子をみていましたが、皆で旅行に行った時に、上手だった彼にスノボを教えてもらって。それが「好きかも」と初めて思った瞬間でした。本当にちょっとずつ、じわじわと心が近づいていきましたね。告白も、「絶対この人からはしない」とわかっていたので私からしました(笑)。 20代で彼に出会っていたら、近づくこともなければ、絶対に好きになってはいなかった。30代で彼に出会ったからこそ、彼のことを知ろうとしたし、本当にタイミングがよかったと思います。そこから2年くらいお付き合いをして入籍しました。結婚してからは、ぶっちゃけ何も変わりません(笑)。夫は家事も得意で、掃除や洗濯なども全てやってくれますし、いつも通り穏やかな毎日を送っています。恋愛体質だった頃は、恋愛の浮き沈みが仕事にも影響していたけれど、今は穏やかだから助かっています。“好きな人”と、“結婚する人”は違うってよく言いますけど、本当にそうだなと実感しています(笑)。
――リーダーポジションで頑張っている方も多いSTORY世代に、メッセージはありますか? 私自身も、大きな決断や挑戦をする時に悩んだり、仕事に関しても今後どうしようと思うことはありますよ。会社を大きくしていきたいと思う反面、その分やはりリスクも伴うので、失敗も怖い。でも私は、やるかやらないかで悩んだ時はやるんです。迷ったら、行動する方を選択します。やってからの後悔もあるけれど、やらない後悔の方が大きいとわかっているから。ただ、タイミングはすごく大事だと思っています。今だ! と思ったタイミングは逃さないし、ピンときたら即行動。ちょっと不安要素があったり、今じゃないと思えば動きません。自分の感覚を信じているところはありますね。 20代でも30~40代でも、失敗に対する恐れは同じだと思っていて。20代で独立して会社を立ち上げた時も、「失敗すれば宿無しだ!」と覚悟はしていましたし(笑)。今もその怖さはあるけれど、たとえ失敗しても、別のチョイスがあると思えるようになりました。感覚に従って失敗したら、もうそれは諦めるしかない。いい意味で諦めがつくかなと。 もちろん若い時の方がフットワークが軽いとは思いますが、STORY世代だからこそ、迷っている時間がもったいない。ここからは年齢を重ねていくだけなので、ますます動きづらくなっていく。今が一番若いんだとしたら、早いに越したことはないですよね。その時に必要なのは、自分の直感を信じられるかどうかです。たとえ失敗したとしても、自分を許せるか。「まあいっか!」と思える自分をつくることが、1人の人間としても、リーダーとしても重要だと思っています。 ――今後のビジョンがありましたら、教えてください。 もちろん、売り上げを上げていくということはビジョンとしてありますが、それ以上に、スタッフたちがちゃんと上を目指せる会社にしたいと思っていて。例えばデザイナーとして入社しても、1ブランドしかないとポジションがなかなか空かなくて、将来的に上に上がっていくのは難しいですよね。でも他にも色々なブランドや部署があれば、やりたいこともビジョンも描けるようになる。そのためにもブランドの横展開をしていきたいと思っています。 あとは、最初に立ち上げた時から、“NYにお店を出すこと”を1つの目標として掲げています。日本のブランドって、繊細なデザインで可愛いものが多いけれど、海外で成功しているブランドが少ないのが課題だと思っていて。日本のブランドが世界で見られるようになったらいいなと思いますね。