北海道日本ハムファイターズがプロ野球チーム初のHEROs AWARD受賞!新球場や新庄監督が話題になる一方で、地道に続ける「SC活動」に込められた思いとは
アスリートやスポーツに関する社会貢献活動の優れたロールモデルを表彰する「HEROs AWARD」の授賞式が12月18日、東京都内で開催される。第7回目となる今回、受賞するのは、プロスノーボーダーの荒井daze善正選手、プロ野球の和田毅投手、元競泳日本代表の伊藤華英さん、アディダス・ジャパン、そして北海道日本ハムファイターズ。ファイターズは野球振興、北海道の地域課題解決など地域社会の健康と未来を創造する取り組み「SC(Sports Community)活動」が評価され、栄誉ある賞に輝いた。
アスリートやスポーツに関する社会貢献活動の優れたロールモデルを表彰する「HEROs AWARD 2023」は、サッカー元日本代表の中田英寿氏が発起人となり、公益財団法人日本財団(東京・港区、笹川陽平会長)が立ち上げた「HEROs ~Sportsmanship for the future~」プロジェクトの柱の一つ。社会課題解決の輪を広げていくことを目的に継続的に開催され、今年で7回目を迎えた。 その中で、プロ野球チームが同賞を受賞するのは初めて。日本では数少ない、アスリートの社会貢献活動を表彰する「HEROs AWARD」のスポーツ団体部門に北海道日本ハムファイターズの「SC活動」が選出され、活動を担う北海道日本ハムファイターズ管理統轄部広報部SCグループ長・笹村寛之氏は「こういう活動は、すぐに成果が出るものでもなく、ゴールの設定も評価も難しい。自分たちのやっていることは正しいのだろうかと自問自答しながらやってきたので、今回こうして評価をしていただけて、そんなに間違ってはいなかったのかなと思えました。また、プロ野球チームでは最初の受賞というのも、率直にうれしいです」と喜びを口にした。
SC活動の原点「チームとしてどう地域に還元・恩返しできるか」
「SC活動」の原点は、球団が北海道に移転した2004年に遡る。その時から企業理念に「Sports Community」を掲げ、「スポーツと生活が近くにある、心と身体の健康を育むコミュニティ」の実現を目指してきた。そのアプローチの一つとして、地域との関係性を築く活動に積極的に取り組んできた。2009年にはチームの勝敗や選手の成績を越えて地域に貢献・還元することもプロスポーツチームの責務とし、「ファイターズ基金」を立ち上げ、募金・オークションなどの収益を地元のNPO支援などに還元する仕組みを構築。2015年からは稲葉篤紀氏(来季から2軍監督)をSCO(スポーツ・コミュニティ・オフィサー)に据え、それらの活動を「SC(Sports Community)活動」と総称。野球をはじめとするスポーツ振興や社会的課題の解決を図り、次の未来を地域と共創するプロスポーツチームを目指すという大きな取り組みへと発展を遂げた。 笹村氏は、「(SC活動が始まった)当時は担当ではなかったので過去の資料を紐解いたり、諸先輩の話を聞いたりしたのですが、2004年当初はスタジアムも空席が目立っていましたがその後リーグ優勝・日本一も果たして、北海道の皆さんに応援してもらえるチームにはなりました。そんな最初の10年を経た頃から、『次の10年、さらにその先、私たちは何をしていかなければいけないのか、チームとしてどう地域に還元・恩返しできるか』を議論し始めた結果、CSR活動をしっかり体系化して、さらに推し進めていこうという意図で、『SC活動』という形になったと解釈しています」と、その経緯を説明する。そうした成り立ちのある「SC活動」は、まさに中身も多岐にわたり、野球を含むスポーツ振興といった一般的なものから、マスコットのフレップ、ポリー、B・Bが中心となって自然の動植物との共存やエゾシカによる農業被害の実情などを含む環境問題の啓蒙活動を行うという北海道ならではの取り組みまで、実に幅が広い。