eモータースポーツ 浜松にプロチーム誕生 自動車のまちからゲーム界へ“コースイン” 最高峰リーグ参戦目指す
世界でeスポーツ市場が拡大する中、レースゲームの腕前を競う「eモータースポーツ」(eMS)のプロチームが浜松市に誕生した。当初の照準は2025年2月に新設されるeMSの国内最高峰リーグ「UNIZONE(ユニゾーン)」への参戦。自動車など輸送機器産業が盛んな浜松地域から国内eMS界の頂点を狙うとともに、浜松に根付き、地域活性化に貢献するチームを目指す。 チームは「ハママツモータース」。同市を拠点にするバレーボールVリーグ女子「ブレス浜松」の最高執行責任者(COO)などを務めた山岸真智さん(46)が立ち上げた。ともに12月の国民スポーツ大会エキシビション選手権の静岡県代表で、国内大会での優勝実績もある尾田結都選手(17)=浜松工高2年=や瀬田凛選手(28)=ヤマハ発動機勤務=といった地元の県内トップレーサーが所属する予定だ。 ユニゾーンは日本自動車連盟(JAF)が公認し、リアルとeMSの双方のレーサーが参加する新規リーグ。年間5~6戦を予定する開幕元年はすでに、東京、熊本、群馬、愛知の4チームの参加が決定し、ハママツモータースは追加募集に申請した。 ユニゾーンを運営する日本eMS機構によると、参加可否は今月末に行われる面接などを経て決定する。尾田選手は「参戦のチャンスがあれば、トップを目指す。浜松人として気概を持って戦う姿を多くの人に見てほしい」と語り、瀬田選手は「浜松地域の子どもたちにeスポーツの可能性を示したい」と意気込む。 ハママツモータースは年齢や性別にかかわらず誰でも楽しめるeMSの利点を生かし、高齢者の介護・フレイル(虚弱)予防に向けた体験会、人材育成のスクールや企業研修、観光振興につながるイベントなどの事業も計画する。 22年の国内eスポーツ市場は125億円で、今後も年20%を超える成長が見込まれる。山岸さんは「eMSと自動車のまち・浜松の親和性は高く、eMSとMSのファンも重複する。多くの人に応援してほしい」と語り、「使用する機器や音響などの分野に、地域のものづくり企業が参入するチャンスもある。eMSを通じて地域全体で盛り上がりたい」と期待を寄せた。 eモータースポーツ コンピューターゲームを競技として行う「eスポーツ」のうち、「アイレーシング」や「グランツーリスモ」などのレーシングゲームで腕を競う。eは英語のエレクトロニック(電子)の略。ハンドルなどのシミュレーター機器を使用し、本物の車の運転技術や知識をそのまま生かすことができる。eスポーツを巡っては世界各地で大会が開催され、2025年には国際オリンピック委員会(IOC)が新設した「オリンピックeスポーツ大会」の第1回大会がサウジアラビアで開催される。
静岡新聞社