日産スーパーGT総監督が語る、ドライバーシャッフルの経緯「車両、タイヤが変わるタイミングで若手を入れてベテランに刺激を」
1月18日に日産/日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)から発表された今季のGT500クラス参戦体制。日産陣営4チームの中では、3号車NISMO NDDPは高星明誠のパートナーに三宅淳詞を迎え、12号車TEAM IMPULは平峰一貴とベルトラン・バゲットで唯一変化はなし。23号車NISMOは3号車から千代勝正を動かしロニー・クインタレッリと組ませることになり、24号車KONDO RACINGはNISMOから松田次生が移籍しGT300から昇格した名取鉄平と組む。 【写真】2024年型のGT500マシンが登場! スーパーGTセパンテスト:フォトギャラリー 8名のドライバー中4名が一気に動いたのは2019年以来5年ぶりで、22年から23年にかけてはチーム体制に変化はなかった。今季のこの大きな動きに関してNMCの松村基宏日産チーム総監督に意図を訊ねた。 「若手のドライバーをGT500に投入するというタイミングはずっと見計らっていましたが、今年NISMOのタイヤがミシュランからブリヂストンに変わり、車両も空力パーツが変更できる年ということで、このような参戦体制としました。タイヤに関してはTEAM IMPULはずっとブリヂストンで変わりませんから、協力し合うことですごく良い連携をしています」 TEAM IMPULの星野一樹監督も「去年まで孤軍奮闘だったのが、NISMOさんとデータをシェアできるというのは大きいし、良いことしかない」と話している。 また千代が移籍したことで、2023年までコンビを組んでいた千代と高星が2チームのAドライバーとなる。 「去年3号車はいい結果を残しました。千代と高星をAドライバーにして新しいタイヤで走る頻度を増やしたいということです。今季は持ち込むタイヤのセット数も減り予選方式も変わりますが、ドライバーがタイヤを感じるチャンスがGTの強さみたいな部分もあって、そのチャンスを減らしてしまうのはもったいないと思いました」と松村総監督。そして「23号車と3号車については車名とスポンサーが違いますが、ランク分けや差があるとは思っていません。23号車には23号車としての役割や戦い方がありますので、千代には一生懸命やって欲しいなと思っています」と続けた。 昨年までGT300を戦っていた24歳の三宅、23歳の名取がGT500クラスに昇格する。若手を2名起用するのは、スーパーGTシリーズとなって初めてのことだ。この若手起用に関して松村総監督はこう述べた。 「名取は昨年GT300のGT-Rで速さを見せました。三宅の起用は意外ですか? 元々GT300ではMax Racingがトヨタ車でやっていたのでスープラに乗っていましたが、我々のGT4にも(開発ドライバーとして)乗ってくれたりしていましたから、遠い関係にいたわけではありません。Max Racingの田中哲也監督もうちのメンバーでもありますから。スーパーフォーミュラについてはうちとは関係なく彼が契約して乗っているわけですが、SFとGTの両方に乗ることは彼にとってメリットはあるでしょう。期待しています」 三宅に関しては、昨年のニスモフェスティバル翌日に行なわれたオーディションを兼ねた走行で、外国人ドライバーやGT500現役ドライバーよりも速いトップタイムをマークしたという情報もある。 「新人を入れるということはベテランに刺激を与えるということですね。ベテランは若手に負ける訳にはいかないという気持ちになるでしょうし、どんなスーパーアスリートでも力のピークは年齢と共に落ちていくわけですから、そんな中で良いコンディションを長く維持するとか、若手から刺激を受けて新しいことにチャレンジするとかやらないと自然に淘汰されていくと思います。そんな状況で全員がどんなシーズンを戦うのか期待したいです」 このシャッフルがどんな化学反応を起こし好結果につなげることができるのか? 今季のZ勢には注目しておきたい。
皆越和也
【関連記事】
- ■4日間合計24時間を走破し、スーパーGTセパンテスト終了。ベストタイムは23年型トムスの37号車GRスープラがマーク。最高速はインパルZが更新
- 【特集】同一シーズンに日産GT500と国内トップフォーミュラを走らせたドライバーたち。スーパーフォーミュラに改称から11年で8人
- ■野尻智紀が育った茨城・筑西市の名物は“魔改造軽トラ”!? 母校訪問の裏に隠された想いも明かす【連載:レーサーふるさと自慢】
- ■NISMOのエースカー23号車に抜擢の千代勝正「非常に光栄。伝統を受け継ぎタイトルを狙います」
- ■NSX GT3はウエイトを積んでも性能が落ちにくい? 昨季2勝もタイトル逃したUPGARAGEの小出「その原因が分かれば、常に速く走れるはず」